ただし、上述のように収入要件があり、利用できるのは年収130万円未満という要件がある。社会保険の収入基準は将来の見込みで考えるので、退職前の年収が130万円以上あっても、被扶養者になれる。例えば、結婚を機に仕事をやめて専業主婦やパート主婦になるようなケースでは、配偶者の健康保険に加入できる可能性が高い。

 一方、退職後に仕事をしていなくても、雇用保険の基本手当(失業給付)をもらっていて、年収要件を超える場合は被扶養者になれない。その場合は、(2)の任意継続被保険者か、(3)の国民健康保険のいずれかから、保険料負担の少ないほうを選ぶのが一般的だ。

辞めた会社の保険を継続できる!?

(2)退職した会社の健康保険の任意継続被保険者になる

 任意継続被保険者は、退職した会社の健康保険に引き続き加入できる制度で、加入するには次の要件を満たしている必要がある。

・退職日の前日までに、勤続期間が継続して2カ月以上あること
・加入を希望する場合は、退職日から20日以内に元の勤務先で手続きをする

 利用できる期間は、任意継続被保険者になってから最長2年間。扶養家族がいる場合は、在職中と同様に、家族は保険料の負担なしで健康保険に加入できる。

 また、任意継続被保険者は、原則的に傷病手当金と出産手当金を除いて、退職前と同じ給付が受けられる。協会けんぽの給付内容は法律の範囲内だが、大手企業の健保組合のなかには、法律で決められた給付額以上に有利な付加給付を行っているところもある。

 例えば、医療費が高額になった場合に自己負担額を抑えられる高額療養費で、「所得区分に関係なく、毎月の限度額が2万円」といった充実した給付が行われるケースなどだ。

 気になるのは保険料。以前は、国民健康保険に加入するよりも、任意継続被保険者のほうが有利になることが多かったが、制度変更によって必ずしもそうとは言い切れなくなっている。