ルイ・ヴィトンのパリ本社に17年間勤務しPRトップをつとめ、「もっともパリジェンヌな日本人」と業界内外で称された藤原淳氏が、パリ生活で出会った多くのパリジェンヌの実例をもとに、「自分らしさ」を貫く生き方を提案したのが、著書『パリジェンヌはすっぴんがお好き』。著者が言うパリジェンヌとは、「すっぴん=ありのままの自分」をさらけ出し、人生イロイロあっても肩で風を切って生きている人のこと。この記事では、本書より一部を抜粋、編集しパリジェンヌのように自分らしく生きる考え方をお伝えします。

フランスのファースト・レディー、ブリジット・マクロン大統領夫人から学んだこと2018年10月11日、アルメニアのエレヴァンで開催された第17回フランコフォニー・サミットに出席するフランスのエマニュエル・マクロン大統領(中央)とブリジット・マクロン夫人(左) Photo by Eliot Blondet:ABACA PRESS/時事通信フォト

「自分にとって心地よいモノ」とは、「自分を見失わない」ための服装

「自分にとって心地よいモノ」とは、単に「着心地がよいモノ」ではありません。「ラクだから」という理由だけで服装を選ぶと、ただの「ダラシない人」になってしまいます。

「自分にとって心地よいモノ」とは、キム・ジョーンズが言っていたように、「自分を見失わない」ための服装です。自分が最も自分らしくあることができる服装です。

 ファッションは時には自分を奮い立たせ、自分の中に秘められた魅力を最大限に引き出す特別な力を持っています。私はそれを他ならぬ、フランスのファースト・レディー、ブリジット・マクロン大統領夫人から学びました。

フランスのファースト・レディー、ブリジット・マクロン大統領夫人から学んだこと

 ファースト・レディーともなると、当然のことながら着ている服、履いている靴、その一つ一つが世間の注目の的になります。大事な場面で何を着るかという選択は、凡人と違い、メディアであれこれ分析されるのが常です。

 自国のブランドを身に纏い、自国のソフトパワーを前面に押し出すという戦略は、王族でも、政治家でも、一国を代表する立場にある人は誰でも使う手ですが、マクロン大統領夫人はフランス人デザイナーの中でも、特にルイ・ヴィトンの服を好んで身に着けています。それが戦略的な発想とは無縁だという驚きの事実を発見したのは、ブリジットさんと直にお会いした時のことです。

 たまたま私がそこに居合わせる、という貴重な機会だったのですが、マクロン大統領夫人は噂にたがわず、聡明かつ気さくな方でした。私はたちまち魅了されてしまいました。長い、真っ直ぐな脚が映える、ミニスカートとブレザーを着こなしています。藍色の上下は大きなボタンが目立ち、凜とした大統領夫人にとてもよく似合っています。もちろん、ルイ・ヴィトンのスーツです。