自社の商品で育てた社員こそが強さの秘密

――坂上:リンクアンドモチベーションさんが高い成長を続けていらっしゃるのは、どのような秘訣があるのでしょうか。

小笹:一言で言えば、「人材」にこだわり続けたからです。

 弊社を立ち上げる前、私はリクルートで14年勤務していました。最初の7年は人事部で採用業務を、その後の7年は組織・人事コンサルティング室の室長として、さまざまな企業の人事の領域で仕事をしていました。その経験から感じるのは、やはり「人材こそが企業を支える」ということ。ですから、社員の採用や教育には大きなエネルギーも資金も投入しています。

――坂上:採用では、どれくらいの資金や時間を使っているのですか。

小笹:弊社単体で1億円くらい使っています。また最終面接は私が行っているのですが、1人あたり1時間ほど面接を行います。最終面接には50人ほどいますので、約50時間。最終的には20人~30人ほど採用します。

 またグループ全体では100人ほど採用しますから、最終的に200人以上に会うことになります。3月から5月までは面接でスケジュールが埋まってしまう感じですね。採用した社員には、自社の技術、「モチベーションエンジニアリング」というのですが、これらを駆使した研修を行い、じっくり育成していきます。

 こうして生まれた有能でモチベーションが高い社員が、顧客とまさにモチベーションというテーマで対峙しますので「おたくの社員のような人材を採用したい、そして自分たちの組織を活性化させたい」と思ってもらえる。自分たちの技術で育てた社員が有言実行的に活躍し、顧客を啓蒙している部分が評価していただいているのではないでしょうか。

――坂上:ベースには「モチベーションエンジニアリング」という技術によって生み出された商品力があるのですね。これらはどのように作られているのですか。

小笹:社会心理学、社会システム論、行動経済学を主なベースとしてつくりあげています。人は機械の部品ではなく、感情を持っていますので、心理学的な要素はかなり持ち込んでいます。それらの理論を実践に耐えうるよう独自に翻訳、融合し、オリジナルの理論として組み立て、商品化しました。