企業と個人の両輪で考える
――坂上:今後成長を続けていく中で、どのような分野に注力していきたいと考えていますか。
小笹:現在、弊社は企業向けのサポートを中心に行っています。しかし、昨今力を入れているのが個人向けのキャリアスクールなどのコンシューマー部門です。企業向けコンサルティング業務で得た我々のノウハウから、どのような人材が社会で求められているのかを分析し、教育の部門にフィードバックしていこうという考えです。
現在、中高生向けの学習塾や、社会人向けのパソコンや資格といったキャリアスクールなどを経営し始めています。企業向けと個人向けの両輪からやっている企業は前例がないので、これから大きな強みとして価値が出てくるのではないかと考えています。
――坂上:最後に、ランチェスター戦略では、企業戦略を「エリア」「顧客」「商品」「販売方法」「理念」の要素から考えるのですが、戦略を考えるうえで最も大事にしている要素はどれでしょうか。
小笹:やはり「理念」です。企業経営にとって何が大切なのか。これは正解のない哲学的な問いだと思うんですが、我々はやはり人材である、と考えています。人材の中でもモチベーションをどう持たせるのか。もちろんスキルも大事ではありますが、それだけではダメだ、ということですね。
ただ、時代の流れの中で社員のモチベーションは多様化しています。戦後復興期から高度経済成長期においては、皆が「お金のため」という一つの価値観で働いていました。
それが、これだけ経済が発展して豊かになると、はたらき方や仕事に対する考え方が一人一人変化してきました。そういう多様性を帯びたモチベーションを束ねて、企業成果に結びつけることができるかどうかは、昔よりも難しいテーマになっています。
これからの時代は、そこをうまく考えないと企業経営はままならない、という哲学を最も大事にしています。
「モチベーション」をテーマにした優良企業リンクアンドモチベーションが大切にしているものが「人」と「理念」。この取材を通じて、企業の本質とは人であり、人の考え方であり、人の気持ちが重要な要素になるのだ、ということを改めて考えさせられました。そして、世のなかには採用だけ、社員教育だけ、人事制度だけをやる会社はありますが、トータルにその領域をカバーしてくれる会社が少なくそこに顧客の隠れたニーズがあったのだと思います。モチベーションを軸にその顧客のニーズの解決に一点集中して成長している企業といえます。
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