大人が新入生に求める役割や規範が
学生たちを疲れさせている!?

 高校の入学式では、校長先生やPTA会長、そして来賓などの大人たちが、新入生に向けて次々と祝辞を述べていきます。それらの祝辞には、「高校生として○○であってほしい」といった激励や期待もしばしば含まれます。

 良くも悪くも、周囲の大人たちは、入学早々、新入生に対してさまざまな役割や規範を期待するものです。そのような光景が、桜が咲く入学式の季節には全国各地でみられます。春の「風物詩」とも言えるかもしれません。「高校 入学式 祝辞」といったキーワードでネットを検索してみると、実際にそうした様子が垣間見えます。その一部を少し抜粋してみてみましょう。

・○○高校での生活をスタートする君たちに、3つのことを要望します
・ここを母校とするという決意をもって……(中略)、このような決意がなければ、充実した学校生活は過ごせませんし、成績も上がりません
・自分で決めた目標を実現させるために、意識を高くもち……
・今日スタートラインに立ったみなさんは、常に高い理想をもち、努力を積み重ねていけば……
・○○高校は、歴史と伝統があり、みなさんもその一員として自覚をもち……

 これだけでも、周囲の大人たちが「ああしてほしい」「こうしてほしい」と新入生に期待したり要求したりしていることが伝わってきます。新入生のみなさんは、このような大人たちの期待をどのように感じましたか?もちろん話半分に聞き流す人もいるでしょうし、期待に応えようとする人もいるでしょう。

 私自身もそうですが、一部の新入生はこのような多くの要求に、少し気持ちが疲れる感じがするようです。ある意味で「型にはめる」要求や「しきたり」に強く違和感を覚える人もいるかもしれません。

 おそらく、周囲の大人たちは「善意」でこのような期待を寄せているのだろうとは思います。大人目線で言えば、私もその気持ちは理解できなくもありません。とはいえ、「大人の期待に敏感で、その期待に応えなくてはいけない」と思いやすい人にとっては、進学後に寄せられる多くの期待が負担になることでしょう。

中学と高校では学校風土や
クラス風土がガラリと変わる

 高校進学を通じて、学校やクラスの風土(雰囲気)が違うことを感じ取る人もいます。