炎上するコンセントボックス写真はイメージです Photo:ByoungJoo/gettyimages

山形市のハウスメーカー、クリエイト礼文(れもん)が施工した2822棟の戸建て住宅について、建築基準法違反があったと公表された。あわや集団訴訟という事態に発展していることはすでに報じた通りだが、さらなる問題が潜んでいる。この違反が、火災保険の契約にも多大な影響を及ぼす可能性があることだ。(保険ジャーナリスト 鬼塚眞子)

火災保険の契約でも大問題!
クリエイト礼文の防火対策に不備あり

 山形県山形市に本拠地を置くハウスメーカー、クリエイト礼文(れもん)。同社が施工した戸建て住宅のうち2822棟について建築基準法違反があったと公表されたが、その後の顧客対応がずさんなため、集団訴訟に発展しかねない事態に陥っている(『約2800棟の戸建てで「施工不備」発覚!山形のクリエイト礼文、あきれた対応で集団訴訟に発展か』)。

 ここでさらに問題なのが、コンセントボックスの防火措置がなされていないことであり、火災保険の契約にも大きな影響を及ぼすことだ。

 クリエイト礼文の住宅は、省令準耐火構造になっているとうたっている。住宅金融支援機構のホームページによれば省令準耐火構造とは、「建築基準法で定める準耐火構造に準ずる防火性能を持つ構造として、住宅金融支援機構が定める基準に適合する住宅をいう」とした上で、「省令準耐火構造の住宅の特徴は、“外部からの延焼防止”、“各室防火”、“他室への延焼遅延”が挙げられる」と明記されている。

 だが、筆者の取材によれば、コンセントボックスの防火対策がなされていない住宅が続出している。

 建築基準法にはコンセントボックスに関しての規定はないが、省令準耐火の仕様では、コンセントボックスにも石膏ボードでの囲いや断熱材で防護する防火措置を行うこととされている。また、電気用品安全法には「感電、火災および傷害を生ずるおそれのないことをいう」と定められていることから、コンセントボックスの防火対策も不可欠であると考えられている。

 コンセントボックスなど「一つ一つの面積が小さいから防火対策なんて」と思うかもしれない。だが、東京消防疔でも電気火災としてコンセント出火の注意を促している。実際、筆者の知人宅でコンセントから出火して火事になったことがある。家族全員が留守で、風が強かったこともあり、全焼となってしまった。コンセントボックスといえども、決して侮れないのだ。

 では、なぜ省令準耐火構造が火災保険の契約に多大な影響を及ぼすのか。次ページでは、両者の関係性について詳述するとともに、保険代理店としてのクリエイト礼文の問題点、施主が今すぐ行うべき対策について詳述する。