「好きだけどセックスしたくない」
はおかしなことではない

――「キスやセックスが嫌なら、付き合うなよ!」って思われちゃわないかなあ……。

 付き合うことと、性的な行為をしたいという気持ちのつながりは人それぞれ違います。好きだけどセックスしたくない、という価値観はあって当然ですし、決しておかしなことではありません。セックスはもちろん、手をつないだりキスをしたりハグをしたり、相手の身体に触れるタイミングでは、基本的にすべて同意をとってもらいたいですね。

――でも、「キスしていい?」、「抱きしめていい?」なんていちいち確認していたら、ムードが台無しにならない?手をつなぐのとか「雰囲気でわかってよ~!」って思っちゃいそう。

 そう感じる気持ちもわかります。ただ、「ムードを壊すから」といって相手の同意をとらないと、どうなるでしょうか?たとえば、ドラマやマンガなどで、嫌がっている子に対して「ほんとうは嫌じゃないくせに」と、キスなどの性的行為をせまるシーンがありますよね。性的行為に積極的なことを恥じらって、そうした描写が生まれたのかもしれませんが、現実社会に置き換えると、これは性暴力になりうると考えられます。

――壁ドンから突然キスをされたり、寝ている間にキスをされたりするシーンも?

 どちらも、相手の身体を許可なく勝手に侵害しているということになりますね。「思わせぶりな態度」という言葉がありますが、たとえばじっと目を見つめられたり、露出の多い格好をしていたり、誰もいないふたりきりの状況になったとしても、それは決して「YES」を意味しません。もし「お前が思わせぶりな態度だから!」と責められても、被害者はまったく悪くありません。

――そうだね、だって、相手は同意してないんだもんね。