昨年、内閣府が公表した「令和4年版男女共同参画白書」において、「20代男性の約4割がデート経験がない」という調査結果が話題になった。少子化問題とひも付けて「若者の恋愛離れ」が憂慮されているが、実のところ、Z世代は“恋愛”をどのように捉えているのだろうか。Z世代の恋愛観について、SHIBUYA109エンタテイメント マーケティング部 SHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣氏に話を聞いた。(清談社 小森重秀)
「恋人の有無」で
優劣をつけることへの違和感
近年、「若者の恋愛離れ」がささやかれるようになっている。昨年の「20代男性の約4割がデート経験がない」という内閣府の調査や、未婚のZ世代の5割が「恋人がいたことがない」と回答していたビッグローブの調査など、若者の恋愛に対する意識調査の結果が話題に上ることが増えてきた。
長田麻衣氏が所長を務める「SHIBUYA109 lab.」では、昨年末の11~12月にかけて1都3県の15~24歳の男女400人に、「Z世代の恋愛・結婚観に関する意識調査」を行っている。
この調査で「恋愛は人生に不可欠」と回答した割合は12.8%。また、「恋人の有無はステータスに関わらない」と回答した割合は60.3%だったという。
毎月200人以上のZ世代と対話を重ねてきた長田氏は「恋愛と等しく価値があると感じる事柄が増えた、と考えているZ世代が多い」と語る。
「Z世代の多くは『恋愛はしたい人がすればいい』と考えているようです。10代の頃からSNSに親しみ、多様な価値観を受容する感覚が前提にあるZ世代からすると、『恋愛を重視するべき』といった強制感を覚える人が少ない。いわゆる“恋愛至上主義”のZ世代は、数少ない印象です」
Z世代にとって恋愛はあくまで多様な関心事の一つにすぎず、00年代の中頃に若者の間で広がった「恋人がいる=リア充(現実の生活が充実している様子、人)」という定義は、Z世代では通用しなくなっている。
「日々の充実度を測る物差しとして、『恋人の有無』だけで優劣をつけることに違和感を覚える人がZ世代には多いのです。Z世代一人ひとりが思い浮かべるリア充の像が多様化しているため、恋愛をしているかどうかで優劣をつける構図が、そもそも成立しません」