『週刊ダイヤモンド』6月18・15日合併特大号の第1特集は「賃上げの嘘!本当の待遇と出世」です。世間では過去最高の賃上げのニュースが続いています。しかし、取材を進めると、単なる賃上げにとどまらない企業の明確な意図が見えてきました。特に中高年には減収と降格の危機が忍び寄っています。主要企業で進む待遇と出世の激変に迫ります。(ダイヤモンド編集部副編集長 清水量介)
過去最高レベルの賃上げ続出!
実は浮かれていられない中高年
長い間、先進国最低レベルの賃金増に甘んじてきた日本。名目でも実質でもイタリア以外の諸国に引き離されてしまっている。

ところが、2023年あたりから、風向きが変わってきた。インフレや業績の好調を背景に、賃上げに踏み切る企業が増加。24年春にはその流れが加速し、過去最高水準の賃上げが続出している。
ただし、浮かれてはいられない。そこには嘘やカラクリが存在しているからだ。
まず、ベースアップ(ベア)や定期昇給、福利厚生の向上などでなされる「賃上げ」の数字は、あくまで“平均”にすぎない。厚く還元される世代や役職もあれば、その裏で割を食う社員もいる。世間の耳目を集めるために初任給を一気に増加させる企業も多いが、同じ割合で全社員に適応されることは、まずないだろう。
さらに重要なことがある。多くの企業で賃上げと同時に人事制度の改革が進んでいるのだ。
端的に言えば、実力主義が進み、賃金テーブルに大きなメスが入り始めている。もちろん、それは年収に影響するだけではなく、出世の構造、社内の序列をも激変させるインパクトすら持つ。