習近平に恩を売る?
岸田首相二期目続投への思惑

 では、なぜ日本政府が、日本人の魂や信仰を侮辱される行為を「落書き」などと矮小化しているのか。ミもフタもない話をすると「岸田首相の二期目続投」のためだ。

 今、岸田政権は冷え込んだ日中関係の安定化を目指している。5月26日には李強首相と会談して、この夏に「訪中」と「習近平主席との首脳会談」を実現しようと根回しもしている。これが成功すれば日本産水産物の禁輸解除に近づくし、支持率アップが見込める「訪朝」の足がかりにもなる。これらの外交の実績があれば、9月の自民党総裁戦で「再選」という芽も見えてくる。しかし、ここで大騒ぎをして中国と揉めたら、このシナリオがパアになってしまう。

 そこに加えて今回、「靖国放尿テロ」を問題にしないのは、岸田政権として「習近平に恩を売る」という狙いもあるのではないかと思っている。

 実は今回の問題が、国際社会で大きく報じられることを最も恐れているのは、他でもない習近平主席である。なぜかというと今、国内外で起きている「放尿スキャンダル」につながってしまうからだ。

 靖国神社が「放尿テロ」にあったまさに前日、実はタイ・バンコクの観光スポットであるチャクリー・マハ・プラサート宮殿でも「中国人の放尿」が問題になっていた。

 香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』(SCMP)が5月29日に報道したところによれば、中国のSNS「抖音」(ドウイン)へ、この王宮を訪れた観光客が連れている小さな女の子に王宮内の花壇でおしっこをさせている動画が投稿された。

 撮影者によればこの観光客は中国人だということで、確かに女の子の親らしき男性のリュックには「シャオミ」という中国ブランドのロゴが入っている。

 さらに「放尿スキャンダル」は中国国内でも起きている。昨年大きな騒動になった「おしっこ青島ビール騒動」だ。

 昨年10月、中国のSNSにショッキングな動画が投稿された。中国を代表するビール『青島ビール』の製造工場というところで、青い作業服を着た男性が、大きな原料倉庫のようなものの中に勢いよく放尿をしているのだ。