国防の観点からも、ドローン兵器の活躍を見れば、かなりの部分を人口ではなく技術力でカバーできるのではないか。技術の基礎は経済力である。

 台湾が日本を追い越したのは2009年である。09年から、日本が台湾と同じだけの成長をしていれば、日本の22年の1人当たりGDPは5.9万ドルとなっている。現実の4.5万ドルの1.3倍だ。税収も1.3倍以上になることになる。

 もちろん、民間の給与も1.3倍になっているのだから、公務員賃金も上げないといけない。GDPが増えれば増やさないといけない支出もあるので、全部が財政赤字の減少には使えないが、財政も大きく改善するだろう。

 次に、人口を見てみよう。図1-5-2は、2028年までの予測を含めた人口を示している。国際通貨基金(IMF)は1人当たりGDPでも28年までの予測をしているが、こちらはあまり当てにならないと考えて23年までとした。人口の場合は、ある程度は当てになると考えられる。

 アジアの中ではインドと中国の人口が圧倒的なので、両者は右目盛りにしている。ここで中国も人口が減少し、2023年ではインドが世界一の人口を有している。

 両者を除くと、インドネシアが人口大国なのが分かる。ここでも日本の人口が減少し、フィリピン、ベトナムの人口が増加していることが分かる。

 人口が相対的に少ない国の動きが分かりにくいので、2028年で人口6000万以上の国、インド、中国、インドネシア、日本、フィリピン、ベトナム、タイを除いたのが図1-5-3である。図を見ると、韓国も台湾も人口が減少することが分かる。韓国や台湾の人口が減少していくことを考えると、人口が減っても1人当たりGDPが減るわけではないことがよく分かる。

人口増加率が低いほど
1人当たりGDPの成長率が高い

 そもそも、人口と1人当たりGDPとの関係はどうなっているだろうか。それを見たのが図1-5-4である。