わかっていてもダマされてしまうものなのか

――ありがとうございます。1点気になったのですが、そのくらいのことなら防げるような気もするのですが、どうなのでしょうか。

江口:そうですよね。おっしゃりたいことはよくわかります。ただ、こういった営業担当は実に言葉巧みに顧客を翻弄してきます。

 たとえば、「この物件は〇〇さんのようなエリートにしか買えない物件なんです」と言われたらどうでしょうか。「いやいや、そんな言葉にはダマされない」と多くの人が思うかもしれませんが、目の前で言われると信じてしまうものです。

 ほとんどの人は、生きてきたなかで、まるでエリート貴族のように扱われることはありません。しかし、住宅購入のときに初めて不動産営業から「あなたしか」「あなたのための」と言われるとどうでしょうか。気持ちがよくなって判断力が鈍くなってしまうのです。

 実際に、エリート企業に勤めている方が引っかかりやすいパターンでもあり、油断しないことが大事です。

――たしかに、「あなただけの物件」と言われたら特別に感じられますね。では、逆に「いい営業担当」はどういった特徴があるのでしょうか。

江口:いい営業担当の特徴は「住宅購入の際に、皆さんのライフスタイルの確認からはじめられるかどうか」でわかります。

 顧客のために動ける営業担当は、「どうして家がほしいのか」「どんな暮らしをしていきたいのか」「転職の予定はあるか」など、とにかく顧客の考えを深掘りすることを大切にします。なぜなら、そうすることで顧客の価値観にあった物件を提案できるからです。

 こういった営業担当は、仮によくない物件に当たったときも正直に「ここは〇〇なので、お二人にはあっていないかもしれません」と正直に言ってくれます。

 不動産営業の本当の価値とは「高い物件を売ること」ではなく、「顧客にあった物件を見つけること」ですから、こういったスタンスの担当に当たった場合は、いい購入ができる確率が高いです。

――なるほど。ちなみに、そういった「いい営業担当」の見抜き方などがあれば教えてください。

江口:そうですね。一番わかりやすいのは「住宅購入で一番大事なのはなんですか?」と質問することです。

 そのときに「とにかくスピードです!」「情報量です!」などではなく、「皆さん(顧客)にあった物件を選ぶこと」と皆さん目線の答えが返ってくる人は、いい営業担当である確率が高いでしょう。

 こういった担当は、とにかく皆さんのために動いてくれますから不安を感じずに購入をすすめられるでしょう。

――ありがとうございます。非常に勉強になりました。