近年、日本には不動産バブルが到来している。加えてマイナス金利の解除も決定し、「家を買おうと思っていたけど、今はタイミングじゃないのでは?」と不安に感じている人も多いのではないだろうか。
そんな住宅購入を不安に感じる人の悩みを解決するために『住宅購入の思考法』が発刊された。本記事では、著者の江口亮介氏のインタビューをお届けする。
住宅購入は「誰から買うか」がものすごく重要
――マンガやドラマなど、住宅系のコンテンツが近年急激に増えているように思います。それらを見ていると、住宅購入は「どの営業担当から買うか」が重要なように思えるのですが、実際はどうなのでしょうか。
江口亮介(以下、江口):結論から言うと、担当選びは非常に大事です。私は日頃から、住宅購入は「どの不動産会社から買うか」よりも「どの営業担当から買うか」のほうが大事であると言っています。
もちろん、大手不動産会社のほうが情報量は若干多いかもしれません。ただ、世の中のほとんどの物件はレインズという共通のデータベースでどの不動産事業者でも閲覧できますし、人生で一番大きな買い物である住宅では、情報量よりも自分にあったパートナーを選ぶことがなによりも大事です。
――情報量よりも相性が大事な理由はどういったところにあるのでしょうか。
江口:家に対する価値観は人それぞれです。資産性が大事という人もいれば、居住性重視という方もいるでしょう。
そのどちらかが正解ということはありませんが、仮に居住性有利の人が、資産性ばかりを強調してくる担当に当たったらどうでしょうか。きっといい気持ちはしないと思います。
どんな仕事にも共通しますが、営業担当に大事なのは顧客のニーズを理解して最適な提案をすることです。自分の価値観を押し付けることではありません。
――なるほど。ということは、そういった営業担当もいるということなのでしょうか。
江口:決して多くはありませんが、存在しています。その多くが自分の利益だけを追求しているタイプです。こういった営業は、顧客の満足度よりも先に、「とにかく早く、とにかく高い物件を売る」という意識が強いです。
当然、このような営業に当たった場合はすぐに関係を切るべきだと私は考えています。
――どうしたら、そういった「悪徳営業」を見抜けるのでしょうか。
江口:「悪徳営業」にはいくつか特徴があります。そのひとつが物件金額の決め方についてです。
たとえば、皆さんの年収で組める住宅ローンの限界金額の物件をすすめてくる営業担当には要注意です。
住宅ローンの金額は「借りられる額」と「借りるべき金額」で大きく異なります。「子どもを私立に行かせたい」「生活の質を落としたくない」など住宅以外にもお金を残しておく理由はさまざまですが、ほとんどの場合、住宅ローンを限界まで組むのは生活が苦しくなるのでおすすめしません。
こういったことを知りながらも、限界金額の物件ばかりを提案してくる営業担当は要注意と言えるでしょう。