例えば、資格の数だけ多くてもその分、年収が上がったというような人はあまり聞かないと思います。

 弁護士など難易度が高く、希少性もあり、マーケット的に価値の高い資格であれば別です。けれども、日商簿記2級とか簿記3級の資格を取ったとしても、それを取得したからといって年収アップ、あるいはキャリアアップにつながるかというと、かなり微妙な話です。

 もちろん、大手であれば、資格を取れば給与にプラス3000円とか特別手当を出すところもありますので、一概には言えませんが、資格を取れば必ず優遇されると思ったら大間違いです。

 けれども、自分のキャリアのことを考えて、まず資格を取りに行くという人はかなりの数にのぼるでしょう。

 そうした「資格を取れば優遇される」「資格があれば自分の強みになる」という安易な考え方の背景には、やはりキャリアに対する不安があるからなのかもしれません。

「このまま働いていて、自分の給料は上がっていくのかな」とか、「周りと比べて自分は評価されているのかな」という不安、あるいはもっと自己実現的に「何者かになりたい」という漠然とした不安に突き動かされて、明確な目的もないまま、つい資格取得に走ってしまう。

 そういう意味では、どこかこうした資格ビジネスには、人のコンプレックスにつけ込んで展開される部分もあるのかもしれません。