些細なことでイライラしたり、空気が読めずにトンデモ発言をしたり、武勇伝を何度も繰り返したり。そうした言動で周囲に迷惑を掛ける中高年層は、たとえ過去に仕事で成功していても、若者たちから「老害」だと認定されてしまいます。ですが、もちろん本人たちは悪気があって老害っぽい言動をしているわけではありません。では、なぜ「やらかす」のでしょうか。医学博士・平松類氏の著書『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)から抜粋して、その答えをお届けします。今回のテーマは「詐欺に遭いやすい高齢者」について。
手間や努力を自分の領域から排除している「老害」
以前、若い女性患者のCさんからこんな愚痴を聞かされたことがあります。同居しているおばあさんの口ぐせは、「インターネットで調べればすぐにわかるでしょ」で、ことあるごとに孫のCさんを頼ってくるそうです。それが「かなり面倒くさい」と。
頼られるのは悪くないことですし、助けてあげたい気持ちもあるそうですが、ものには限度があります。Cさんのおばあさんの場合、最初から自分で調べることを放棄しているため、きりがないとのことでした。
聞けば、壁にかかっているカレンダーをめくればすぐにわかることや、その日の朝刊に絶対に載っていることなど、少しの手間で誰にでも得られる情報でさえ、Cさんに聞いてくるといいます。
「インターネットで調べればすぐにわかるでしょ」
そんなことを毎度毎度言われても、CさんはGoogleでもYahoo!でもないので、答えはすぐには出てきません。
おばあさんがテレビの情報番組で気になる商品を見つけると……。「インターネットですぐに買えるでしょ。いくらするの? 色違いもあるの? 注文したら何日で届くの?」
これには「本当に勘弁してほしい」と、最近は心からそう思っているそうです。
そして、いつか詐欺にあうんじゃないかということも心配されていました。Cさんのおばあさんは、調べものだけでなく、何をするにも他人任せで、Cさん以外の人に対してもベースは「おんぶにだっこ」。言われたとおりにするし、すべて鵜呑みにしてしまうそうです。
だから、家族以外の見知らぬ人と接するのが不安とおっしゃっていました。「運悪く詐欺師に出会ってしまったら、100%騙(だま)されるだろう」と。