なぜ老害化が進むのか
年をとると加速度が増す家族への依存度合い

 自分でろくに下調べをせず、すぐに家族に質問するタイプは、せっかちな性格の人に多いです。

 つねに他人任せで、自ら仕切ったり決めたりすることはしないにもかかわらず、まだなのかと急かしてきたりします。

 例えば、旅行の行き先や、家族でレストランに入ったときに注文するメニューなどを、自分で決めずにほかの誰かに任せておきながら、「どこに行く?」「何を頼む?」とすぐに聞いてくるのが典型的なパターンです。

 そういうキャラとして受け入れられている場合もあるでしょうが、度が過ぎるといつの間にか「家族の壁」が生まれることになるでしょう。

 そして、高齢者になるとここに「若い人や詳しい人に聞いたほうが早い」が加わり、家族に限らず、他人への依存度合いがさらに加速していきます。

 入院する前に渡したパンフレットにルールや注意事項がすべて書いてあるのに、それを読まずに「パジャマは持ってきていいの?」と聞いてくる高齢の入院患者さんにお目にかかるのは日常茶飯事です。

 こういうタイプの人は、自分だけ楽をしているとか、相手に負担をかけているとか、そういった意識を持っていません。老害力がおおいに発揮されてしまっている自覚もありません。

 ただたんに、いちばん間違いないと思っている方法を選択しているだけなのです。

 Cさんのおばあさんは、孫が心配しているように、詐欺に引っかかってしまいやすいタイプにも該当します。

 疑い深すぎる性格の人はいかがなものかと思いますが、その一方で人の言葉を鵜呑みにしすぎる人も考えもの。高齢者のほうが人を信じやすく、高額な商品であっても、店員の話を信頼して選び、買う特性があるからです(※1)。

 さらに、振り込め詐欺の平均被害額は、若者より高齢者のほうが圧倒的に大きいこともわかっています(※2)。ご本人のみならず、家族など周囲の人たちも注意したほうがいいでしょう。