周りの老害に配慮するコツ
「自分で調べるといいことがある」の波状攻撃が有効

医学博士・平松類氏の著書『「老害の人」にならないコツ』(アスコム)

 なんでもすぐに聞いてくる人が家族や友人にいたら、その姿勢を真っ向から否定せずに、自分で調べることによって得られるメリットを、やさしく伝えてあげてください。

「健康やお金のことを他人任せにしていいの?」

 ここから切り崩していくと、次第に「最低限の下調べは自分でする」という行動をとってくれるようになるかもしれません。

 そのうえで、詐欺への警戒心を強めてもらえるように働きかけましょう。

「あなたは騙されやすい性格だから気をつけて」と、ストレートに言ってはいけません。「そんなことはない」とばかりに、新たな壁をつくることになりかねないですからね。

 そうではなく、ひたすらメリットばかりを強調することが大事です。自分にある程度の知識があれば、身の周りで起こることに対応しやすくなるし、他人に対して「ノー」を言えるようになることを、知ってもらうようにしましょう。

 私の経験上、詐欺師に完全に騙されてしまった高齢者に、それ(その人)は間違っていると信じさせることは相当難しいです。

 詐欺師はその道のプロですから、騙しやすい“カモ”を洗脳に近い状態にもっていくことは大得意。こちらがどう説明しても、説得しても、なかなか考えを改めてくれません。

 以前、目の病気のことを相談しに私のもとを訪れた患者さんが、私の話を信じてくれず、最終的には「この前100万円で買った浄水器の水を飲んだほうがいい」と言い張って聞かない、ということもありました。

 ですので、身近に思い当たる人がいる場合は、早めに対策を立てておき、そうなる一歩前に手を打つことが求められます。

 完全に騙されて洗脳状態になってしまったら、我々の手には負えません。その手のトラブルに対応してくれる、専門の窓口に相談しましょう。

【参考文献】
1)鎌田昌子ら:高齢者の買い物行動・態度に関する検討(1) 生活科学研究 2012; 34: 15-26
2)消費者庁 平成28年版消費者白書