ルイ・ヴィトンのパリ本社に17年間勤務しPRトップをつとめ、「もっともパリジェンヌな日本人」と業界内外で称された藤原淳氏が、パリ生活で出会った多くのパリジェンヌの実例をもとに、「自分らしさ」を貫く生き方を提案したのが、著書『パリジェンヌはすっぴんがお好き』。著者が言うパリジェンヌとは、「すっぴん=ありのままの自分」をさらけ出し、人生イロイロあっても肩で風を切って生きている人のこと。この記事では、本書より一部を抜粋、編集しパリジェンヌのように自分らしく生きる考え方をお伝えします。

自分を一番「快適で幸せ」にリセットする方法! パリジェンヌが決して譲らない「ゴールデンタイム」とは何?Photo: Adobe Stock

すっぴんの自分と向き合う時間を作る

 ありのままの自分をさらけ出す覚悟。それこそ、強く、美しく生きていくための秘訣です。

 そしてそれは、心を落ち着けて、すっぴんの自分と向き合う時間を作ることから始まります。

 毎日、少しでもいいので、素顔の自分と対話をする時間を作るのです。それだけです。とても簡単なことです。

誰のものでもない、私だけのゴールデンタイム

 この秘訣を教えてくれたのは、私の友人であり、テレビ番組でコメンテーターをしている女性記者のマリーでした。彼女をプレス・ツアーに招待し、一晩一緒に明かした時のことです。

 モンゴルにルイ・ヴィトンの店舗を開いた際、オープニング・イベントにマリーを含む世界各国のプレスを招待しました。またとない機会でしたので、モンゴルの伝統文化を身をもって体験してもらおうと、遊牧民が使うテントに1泊することになりました。大きなゲルは2人使用だったため、仲の良いマリーと私が一つのゲル(移動式住居)をシェアすることになったのです。

 乗馬体験をし、モンゴルの民族楽器馬頭琴のコンサートを聴き、伝統的な食文化を体験したその晩。疲れ切っていた私は一刻も早く寝床に潜り込みたい気分でした。そんな私をよそ目にマリーはメリー・ポピンズのように旅行鞄から次々と何かを取り出しています。何かと思って覗いてみると、それは幾つものスキンケア・グッズでした。

 モンゴルの大草原だろうが、取材で駆けつける中東だろうが、アフリカだろうが、大好きなクレンジングオイルや使い慣れた化粧水は必ず持参するマリーです。

「誰のものでもない、私だけのゴールデンタイムよ」

 そう言い切る彼女は、旅先で寝る時間を割いてでも、家族と電話する時間を削ってでも、肌の手入れをする時間は死守するとのことです。

パリジェンヌ流のスキンケアを実践

「何があっても、この時間だけは譲れないの」

 そう断言するマリーの邪魔にならないように、私は布団にそっと潜り込みました。1分後に深い眠りに落ちた私がその晩見た夢は、肌がツヤツヤなマリーが傘を持って空から舞い降りてくる夢でした。

 マリーに影響され、私もモンゴル旅行以来、パリジェンヌ流のスキンケアを実践するようになりました。毎晩、時間をかけて肌の手入れをしてみると、実にいろいろな発見がありました。