「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回は、FIDIAのグループ会社の一つであるイルミルド株式会社の西澤次長にインタビュー。西澤氏は「イルミルド」西俊彦社長の右腕として、設立当初から在籍しているメンバーの一人だ。そんな西澤氏は『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。今回は、マネジメントのコツについて伺った(ダイヤモンド社書籍編集局)。
掛け算の圧倒的パワー
――『スタートアップ芸人』で気になったエピソードを教えてください。
西澤正一(以下、西澤):いくつもありますが、最初に挙げたいのが「仲間を見極める」という章です。
この章の冒頭に登場するのが、【仲間を見極める方式:能力×情熱×人間性】。
この話に入る前に、まずはイルミルドの業務内容を紹介したほうがわかりやすいので紹介します。
イルミルドでは化粧品や医薬部外品を製造・販売していて、Amazon販売、楽天販売、販売支援、商品管理、CS(カスタマーサポート)、CRM(顧客情報管理)、デザイン、商品開発など、おおまかに8つのチームに分かれています。
これらは「直接部門」と「間接部門」に大別でき、僕が統括しているのが、間接部門の商品開発・商品管理・CS・CRMの4チーム。
現在、各チームでリーダーを務めているのは、2023年7月に初めて役職がついて上がってきた社員たちなのですが――そのリーダーを育てる上で参考になったのが、森社長が考えた独自の公式【能力×情熱×人間性】でした。
――マネジメント上、どんなところが参考になったのでしょう?
西澤:最大のポイントは、能力・情熱・人間性が、単独でも足し算でもなく、掛け算であるという点。
僕が思うに、人間の能力は、みんなそう変わりません。
というのも、努力次第でいかようにも成長できますから。
しかし、人間性と情熱は努力次第で生まれるものではなく、個人差がとても大きい。
ですから、マネジメント側がしっかり調整しないといけないと思っています。
二度と失敗させないやり方
――具体的には、どのような方法でしょうか?
西澤:社員に情熱を注げる仕事・業務ができる環境をつくってあげることです。
それには2つのルートがあります。
1つが、なるべく本人のやりたいこと・得意なことを任せること。
よく「好きなことを仕事にしなさい」と言いますが、「やりたい・やってみたい」という気持ちは情熱から生まれるものです。
そしてもう1つが、おもいきって裁量権を与えること。
自らの判断で行った仕事で成果を出せれば、本人にとって大きな成功体験になるでしょう。
そうした小さな成功体験を積み重ねていくことで、仕事へのやりがいが高まり、さらなる成長・活躍も見込めます。
――本書の「抜擢と、小さくて早い失敗」にも近い話が登場します。ちなみに西澤さんは、部下が失敗したらどうしていますか?
西澤:いい失敗・悪い失敗があると思いますが、いずれにせよ繰り返さないことが大事。
すごくアナログな方法ですが、一番手っ取り早く、効果があるのは、失敗の見える化です。
なぜ失敗したのか、そしてどうしたらこれ以上失敗しないのかを、紙に書いてもらい、見えるところに貼っておくんです。書くのはやり方でもルールでもいい。
これにより、成功するためのノウハウも完成します。
人間性は変えられない。でも「○○」はできる!
――では、「人間性」についてはいかがでしょう? 残念ながら、変えられないと思うのですが……。
西澤:はい、なかなか人間性は変えられません。しかし、“醸成”はできると思っています。
例えば、他者に敬意を払うことや、共感力、自己管理力、自己制御力といったことは、社内で培うことができるはずです。
そのためにも、管理職や上司には実にさまざまなマインドが求められますし、もっというと、企業のカルチャー次第ではないかと思うのです。
そういう意味では、イルミルドおよびFIDIAのカルチャーに自信を持っているので、手前味噌ながら社員の人間性にも疑問を抱いてはいません。
【能力×情熱×人間性】×人数分が、イルミルドの戦闘力ですから。