護王神社の茅の輪京都御所の西隣に構える護王神社(上京区)の茅の輪

有名神社の茅の輪をくぐる

 30日に都合が合わず神事に参加することがかなわなくても、「茅の輪くぐり」なら夏越の祓に参加するチャンスがあります。祈祷の予約などしなくても、期間内にお参りに行って、くぐれば厄が祓えるとあって、多くの人が地元の神社などを訪れます。

 茅の輪の設置時期は神社によってだいぶ違いますので、これは確認が必要です。くぐり方の作法も神社によって多少異なります。また、茅の輪の側にくぐり方を指南する添え書きのあることが多いので、それぞれの作法に従いましょう。

 一般的な作法としては、次の2点に留意してください。一つは、唱える言葉です。「水無月(みなづき)の夏越(なごし)の祓(はらい)する人は、千歳(ちとせ)の命(いのち)のぶというなり」。これを口にしながら、くぐるわけです。

 もう一つはくぐり方。一般的には、8の字を描くように、左→右→左と茅の輪をまたいで外回りに回ると覚えておくとよいでしょう。3度回ると正面に戻りますので、最後に茅の輪をまたいで本殿前に進み、ここから先はいつものように参拝してください。

 有名神社の茅の輪をいろいろ見比べてみるのも一興です。茅の輪は、大人が姿勢を正したままゆとりをもってくぐれる大きさのものが一般的です。大きさでは、菅原道真公を祀る北野天満宮(上京区)の楼門に設置される直径5mのものが京都市内最大級です。こちらは天神さんの縁日である25日(火)から設置されます。

 変わり種では豊臣秀吉が伏見城の守護神として勧請し、その後徳川綱吉が現在の地に遷祀した満足稲荷神社(左京区) 。地下鉄東西線「東山」駅3分と便利な場所にあり、犬や猫などペットも茅の輪くぐりに参加可能となっています。人形も、人用の「大祓人形」の他、ペット専用の「大祓ペット形」も用意され、いずれも水に溶けるので川に流すことができます。ちなみに、京都ではありませんが、ペット専用の小さな茅の輪を設ける神社もあるようです。

 自動車用の茅の輪もあります。平安遷都の際、都の南方の守護と国の安泰を願って創建された城南宮(伏見区)は、京都では車の交通安全祈願の社として有名です。7月1日から7日までの1週間、神職によるお祓いを受けた後、交通安全を願いながら運転して境内の駐車場に設けられた直径5mの茅の輪を車ごとくぐりぬけます。自家用車のみならず、バスやトラックにも対応しています。

 茅の輪くぐりの後、7月から半年間の無病息災の御利益を願いながら伝統菓子をいただきましょう。

茅の輪茅の輪も、神社によって少しずつ形が異なる。写真左はスポーツの守護神「白峯神宮」(上京区)。右上は女人守護の市比賣神社(下京区)、右下は菅原道真公の生誕地と伝わる菅大臣神社(下京区)