ドキュメントバラエティー全盛期に突入
「番組に関わりながら、終わりだなって思った」

 ポケットビスケッツやブラックビスケッツによる一連のヒット曲をはじめ、ドーバー海峡横断部など、数々の名企画を生み出した番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ/1996~2002年)。清水氏は、この番組に関わりながら「あぁ、コントは終わるんだな」と確信を得たと話す。

「あの番組は当初、コメディというかコントのコーナーがいくつかあったんですよ。でも、一瞬で無くなってね。しかも、番組の放送作家チームには、ドキュメントバラエティーの申し子のような若手がたくさん投入されて、ロケ企画に流れていってそっちが断然、数字もいい。その流れを見ながら、『もうコントは求められていないんだろうな』って」

 同時期、当時のダウンタウンの看板番組であった『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ /1991~97年)でも同じ状況に出くわすことになる。

「最初はショートコントが中心の番組だったんですが、90年代半ば以降から、どんどんロケやゲームコーナーに変わってきて。関西から、ダウンタウンと大阪で仕事をしていた作家たちがやってくるんですよね。悔しいというより、その人達が本当に面白いなって思ったから、よく一緒に飲みに行ったりしましたけど、これが時代の流れなんだろうなって。そんなふうに思ってましたね」

 2000年代以降、深夜で人気を博したコント番組がゴールデンタイムに放送時間が変更されると、ロケやゲームコーナーが主体となるケースが続出した。一方で、『爆笑オンエアバトル』(NHK /1999~2010年)をはじめ、『エンタの神様』(日本テレビ系列/2003~10年)や、『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系列/2007~14年)など、お笑い芸人によるネタとしてコントが全盛を迎える。

「結局、芸人さんたちのレベルが高くなったということでしょうね。コント番組を作るとなると、時間もお金もかかる。でも、芸人さんたちは自分でネタも作るし、大掛かりなセットもいらない。しかもネタ番組であれば、厳選したコントがある芸人を5組集めれば成立するので、そっちの方が支持されますよね。作家が毎週ネタを作るために苦悶しなくていいんだから。そういうこともあって、『キングオブコント』は優れた番組コンテンツとして、ゴールデンタイムで評価されているんだと思います」

 ゴールデンタイムはもちろん、深夜帯でもコント番組が次々と姿を消していく中、清水氏をはじめとするコント作家たちは、次にどのフィールドで活路を見出していくのか。

「松本人志の才能が鳴り響いていた」「ウッチャンは映画オタクだから…」放送作家が振り返る90年代コント番組の“最後のきらめき”Photo:Sports Nippon/Getty Images
「松本人志の才能が鳴り響いていた」「ウッチャンは映画オタクだから…」放送作家が振り返る90年代コント番組の“最後のきらめき”Photo:Sports Nippon/Getty Images