医師や弁護士、会計士も?
AIが役割を担うことで淘汰される職業
米オープンAIによるChatGPTの公開をきっかけに、世界中でAI利用が飛躍的に増えた。今もAIの役割、使用分野は拡大中だ。例えば、中国ではバイドゥが生成AI、「文心一言」(アーニーボット)を公開した。また、米国のメタが大規模言語モデル、LLaMA(ラマ)を開発してもいる。エヌビディアが設計、開発するGPUでAIは学習し、世界に破壊的創造をもたらしている。
AIのインパクトは、一種の革命と考えたほうが良い。18世紀に英国で起きた産業革命に匹敵する可能性が高い。
産業革命では、蒸気機関が発達し生産活動の形態はがらりと変わった。それによって、物流や生産の効率性が高まり、人々の生活水準も飛躍した。特に、工場労働者の生き方が大きく変化した。英国では、紡績機械を使った大量生産体制が確立された。
生産体制は、家内制手工業から工場制機械工業になった。手工業の時代は、糸をつむぐ手作業の熟練度合いで賃金が決まっていた。それが、大量生産への移行で、工場長の指示に従い、機械を正確に操作する人材の重要性が高まった。大量生産に従順に取り組む人を育てるため、政府や地方自治体は教育制度を整備した。
機械や工場向けの基礎資材として鉄鋼業も成長した。英国は自由貿易を推進し、経済を成長させた。19世紀半ばから20世紀初め、世界経済は「パクス=ブリタニカ」(英国による平和)を迎えた。
そうした英国の産業革命を、AIによる21世紀型産業革命のインパクトが凌駕するとの見方は多い。オープンAIやマイクロソフトなどで、AI関連ビジネスは急成長している。また、エヌビディアのGPUを使い、ドイツの自動車大手アウディは、2年かかったプログラムの書き込みを4時間で済ませることができたという。
一方、AIで淘汰される職業は増えるだろう。すでに、コールセンターのオペレーターの役割はチャットボットが代替するようになってきた。医師や弁護士、会計士の役割をAIが担うとの見方が、今後は増えることも想定される。