不適切な手段だった

 東京都知事選では、特定の政治団体が候補者のポスター掲示枠を事実上「販売」しており、いわゆる“売名”のために掲示板が利用されていることが問題視されていた。そこでAERA dot.では「ポスター枠」を実際に買った男性に接触。どういう目的なのかを取材すると、当時、男性は次のような主張をしていた。

「経済停滞、待機児童や出生率低下など多くの問題が東京一極集中に起因しています。それらを解消し、子どもたちの生活しやすい東京をつくってほしい」

「未来の子どもたちのためにも投票して(暮らしを)改善していこうというのが私の主張ですので、子どもたちの未来のために投票に行ってほしいという気持ちを込めて、わが子の写真を使いました」

 だが、記事が掲載された2日後、男性から記者に電話があり、「子どもの写真を掲載したポスターを貼ったことを後悔している」「ポスタージャックなどするべきではなかった」と後悔の念を語った。

 男性は掲示したポスターを全て剝がすことを決めたと言い、7月1日はそのために上京していた。そこで同日、都内ホテルで改めて男性に話を聞くと、冒頭のように泣きじゃくりながら後悔を語り出した。

「自己顕示欲とか記念づくりとかそういう考えは、全くありませんでした。より良い都知事選となるために、いい投票となるように、都民の皆さまに自分の主張を聞いていただきたいという思いが強くあったんです。ただ、そのためにポスタージャックに参加するという不適切な手段で伝えようとしたのは、極めて自分勝手な考えで、浅はかだったと思っています」