カオス過ぎる都知事選ポスターの皮肉な副次効果、規制議論の一方で選挙への関心を高める人々都知事選のポスターはまさに百花繚乱。特定の候補者のポスターが破られる被害も Photo:JIJI

多少のおふざけには寛容なネットユーザーたちも、その多くが「ドン引き」しているのが今回の東京都知事選ポスターだ。これまでも多少の物議を醸す政見放送や選挙ポスターはあったが、ポスター版の3分の1以上に候補者以外のポスターが掲示される選挙は後にも先にもないかもしれない。モラルの崩壊が規制を招くのは必至の状況だが、足もとでは意外な影響も見られる。(フリーライター 鎌田和歌)

全裸女性のポスターまで
最多56人が入り乱れる都知事選の掲示板

 立候補者が最多56人となった東京都知事選。想定外の候補者数のためポスター掲示板が足らずクリアファイル対応となったが、それ以上に話題になったのがポスターの内容だ。

 ある男性の候補者が貼り出したポスターの一部は、ほぼ全裸の女性が扇状的なポーズをとったもの。体の一部が候補者が過去に政見放送を行った際の写真で隠されていたため、見た人が候補者の顔や名前を確認するためには、この部分を凝視する必要があった。

 ポスターには大きめの文字で「表現の自由への規制はやめろ。」「我々はこの腐った社会を揶揄し続ける。」などと書かれていた。性的な表現を守り「表現の自由」を求める風潮はネット上、特にX(旧ツイッター)で強く、また「腐った社会を揶揄」のように既存の価値観へのアンチテーゼがもてはやされる傾向もある。

 しかしこのポスターに関して、インターネット発のインフルエンサーである西村博之氏がXに投稿した感想は「『子供が見る』という視点が全くないのか、頭が悪いのか、どちらなのでしょうか?これが合法なんて世も末ですね。」だった。

 X上でも「さすがにこれはない」という反応が多く見られ、結局このポスターは告示日当日に警察から都迷惑防止条例違反の疑いで警告が出されている。候補者は警告を受けてポスターを撤去した。