「自殺リスク」は約3倍!高齢者を追い詰めるたった1つの要因とは?【7年間4.6万人調査】写真はイメージです Photo:PIXTA

「孤食」の人は自殺リスクが2.8倍に?

 日本の高齢者4.6万人を7年間追跡し、社会的つながりと自殺との関連を調べたところ、「孤食」の状態にある人は、自殺死亡のリスクが約2.8倍高かったという推計結果が発表された。日本福祉大学社会福祉学部の斉藤雅茂氏らによる研究であり、「Social Science & Medicine」4月号に掲載された。

 日本では依然として、国際的に見て自殺率が高い。社会的孤立の問題が指摘されているが、個人の社会的つながりに関する多様な指標と自殺死亡を検証した研究は少ない。また、日本では50~59歳の年齢層の自殺者数が最も多いが、70~79歳と80歳以上の自殺者数を合計するとそれを上回る。そのような中、高齢者の自殺に関する研究は不足している。

 そこで著者らは、日本老年学的評価研究の「健康とくらしの調査」に回答した、北海道・千葉・山梨・愛知・三重・長崎における要介護認定を受けていない65歳以上の人を対象に前向きコホート研究を実施した。2010年にベースライン調査を開始、2017年まで追跡し、死亡した人の死因を人口動態統計に基づいて特定した。