自宅での変死となると警察が来て捜査をするのでご遺体そのものを見ることはなかったのですが、体液による汚れと臭いと虫の群れは、私が訪問したときにも残っていました。

 再び人に貸せるように徹底的に臭いをなくしてほしいという大家さんの希望で、遺品整理と特殊清掃を行いました。体液が下の階にも浸食していたので、下の階の人には一時的に引っ越していただきました。

 床を広げると亡くなった場所から3メートルくらいの範囲まで体液が広がっており、広範囲に悪臭の元があって、すべて洗浄した後にコーティングをしていく作業を行いました。

 下の階も同様に天井を一部解体して、コンクリートの隙間から垂れていた目地のコーティングなどを行い、遺品整理と特殊清掃を合わせて費用は何十万円にものぼりました。

 いかがでしょうか。このように、おひとりさまの場合は、亡くなってから発見されるまでに時間がかかってしまうこともあります。常に連絡を取り合う家族や友人がいないと、なかなか気づいてもらえないのです。

 故人が仕事をしていれば職場の人が異変を察知したりします。それもなければ近隣住人が異臭に気づいたり、あるいは郵便受けにチラシや新聞が溢れかえっているのをきっかけに、管理人に発見されたりします。

 孤独死した方が発見されるまでの平均日数は、18日だそうです(一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会「第7回孤独死現状レポート」2022年)。

 遺体は夏場なら1~2日、冬場でも数日で腐敗が始まります。もし自分の遺体が腐敗してしまうとしたら、いい気分はしません。

 孤独死が「死の瞬間にひとりである」こととするなら、ある程度は仕方のないことだと思います。