体が溶けて体液が床を汚し…「孤独死した人」は発見されるまで平均で何日かかる?株式会社GoodService代表・山村秀炯(やまむら しゅうけい)氏の著書『老後ひとり暮らしの壁』(アスコム)

 本当に問題となる「孤独死」は、死後に何週間も発見されず、ご遺体が腐敗してしまうなど、故人の尊厳がおかされるケースです。この場合、ご遺体のあった場所なども汚損されてしまうため、その部屋の所有者などにも迷惑がかかることになります。

 そのため、賃貸住宅を提供している都市再生機構(UR)は、死後1週間以内に遺体が発見されたケースは孤独死の統計に含めないとしています。実際、「孤独死」の4割以上は、死後3日以内に発見されています。

 また、厚生労働省や自治体は、本当に問題なのは自宅で看取られずに亡くなる孤独死ではなく、社会的に孤立している単身者が自宅での死後に長期間発見されないことだとの考えから「孤独死」ではなく「孤立死」という言葉を積極的に使用しています。

 また日本少額短期保険協会の孤独死現状レポートによると「孤独死」の平均年齢は61~62歳で、平均寿命よりも大幅に短いことも問題視されています。「孤独死」の4割は、60歳未満の現役世代なのです。

 この理由として、「孤独」であることが寿命を縮めているのではないかと考えられています。

体が溶けて体液が床を汚し…「孤独死した人」は発見されるまで平均で何日かかる?孤独死者の男女比と年齢 『老後ひとり暮らしの壁』(アスコム)より
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ひとりの不安やストレスから解放されよう

 孤独死であっても、故人が幸福だったか不幸だったかを私が決めつけることはできません。

 ただ、遺品や生活のあとを見ていると、つい悲観的な想像をしてしまうことはあります。

 もし、突然自分が病に倒れたら。誰にも気づいてもらえず、そのまま死んでしまうとしたら。死後の手続きや相続で、家族や親族が揉めたりしたら。あまり望ましい未来とは思えません。

 誰にとっても死は平等です。亡くなった後は満足も後悔もない無なのかもしれません。

 でも、いきいきと人生を送っているおひとりさまたちを知っているからこそ、ストレスも不安も後悔もない老後ひとり暮らしが、とても価値のあるものに感じられるのです。

 ですから私は、死ぬことへの準備ではなく、おひとりさまのいまを充実して生きるために、「老後ひとり暮らしの壁」を越えるお手伝いをしたいと思っています。

 それは身体や財産、人間関係などをどう管理していくかということであり、「衰えのマネジメント」だといえます。