ドイツの「1KOMMA5°」が創業2年で 太陽光発電のユニコーン企業になれた「4つの理由」は?写真はイメージです Photo:PIXTA

太陽光発電の普及が世界で加速している。2023年度の世界No.1は中国だが、ヨーロッパを中心に急成長をしている企業がドイツのGX(脱炭素)スタートアップ「1KOMMA5°」だ。創業わずか2年でユニコーン企業になった同社の「4つの戦略」とは?(多摩大学大学院教授 河野龍太)

欧州の住宅用太陽光発電市場でNo.1に躍り出た、
ドイツの脱炭素ユニコーン企業

 1KOMMA5°(ワンコマファイブ)は、21年にドイツで創業した住宅用太陽光発電システムを開発販売するスタートアップである。会社名はパリ協定(COP21)で採択された温室効果ガス排出削減目標(「1.5℃以内」)にちなんでいる。

 1KOMMA5°は事業立ち上げから急速に成長している。

 ドイツを含め、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、スペイン、オランダ、オーストラリアの7カ国へ進出し、22年には2億600万ユーロ(約333億円)の売り上げをあげた。さらに23年には約4億6000万ユーロ(約755億円)と売り上げは倍増(4)。

 利益(EBIT)に注目しても、22 年には1900 万ユーロ(約31億円)、23 年には 5000 万ユーロ(約84億円)をあげている。

 23年、シリコンバレーの G2 Venture Partners が主導したシリーズ B資金調達ラウンドによって、ユニコーン企業(※企業価値の評価額が10億ドルを超える、設立から10年以内の未上場のテクノロジー企業)となった(5)。24年のEUPD 調査(Market Leadership Study Europe 2024)ではヨーロッパの住宅用太陽光発電市場の設置会社ランキングでNo.1のポジションに立った。

 なぜ 1KOMMA5°は、創業後2年という短期間でユニコーン企業に成長したのだろうか。