丸井レッドカード#2Photo:Diamond, fitie/gettyimages, imagenavi/gettyimages

丸井グループ(G)は、新型コロナウイルスが猛威を振るう昨年度、百貨店が軒並み巨額赤字に転落する一方で黒字を確保した。祖業でもある小売りのイメージが強い丸井Gの業績が百貨店と対照的に底堅さを見せたのはなぜか。特集『丸井 レッドカード』(全13回)の#2では、丸井Gが生み出した特異なビジネスモデルを解説する。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

三越伊勢丹、高島屋…百貨店赤字続出の中
丸井は逆風に耐えて黒字を確保

 小売りの“異端児”はコロナ禍でも黒字を確保――。

 新型コロナウイルスの感染拡大は小売業界に強烈なインパクトを与えた。生活必需品を扱うスーパーが特需に沸く一方で、高級品などを販売する百貨店は緊急事態宣言といった行動制限の影響で長期間、店を開けられない事態を余儀なくされた。

 百貨店業界の業績は惨憺たる結果だった。業界最大手の三越伊勢丹ホールディングスの2021年3月期決算は売上高が前年同期比27.1%減の8160億円となり、最終損益は411億円の赤字を計上。業界2位の高島屋も21年2月期の売上高が25.9%減の6809億円で、最終損益は340億円の赤字に沈んだ。

 一方、百貨店と同様に都市部の駅前などの好立地に店を構える丸井グループ(G)はやや様子が異なる。21年3月期の売上高こそ10.8%減の2208億円と減収となったものの、営業利益は153億円を計上し、最終損益は23億円の黒字を確保した。

 百貨店と丸井Gの明暗を分けた要因は何か。

「小売りの丸井」という印象が強い丸井Gだが、ビジネスモデルをひもとくと、実は収益の大黒柱は小売りではない。

 丸井Gがコロナ禍の逆風でも百貨店などに比べて極めて強かったのもこのためだ。次ページ以降では、「脱・小売り」ともいえる丸井Gの特異なビジネスモデルについて詳述していく。