丸井グループのエポスカードは、グループの“支柱”である。その利益率は祖業の小売りを凌駕するだけではない。カード業界の営業利益率で多い10%前後をはるかに上回る30%超に達するのだ。カード業界では最後発であるエポスカードが、荒稼ぎできる“からくり”とは。特集『丸井 レッドカード』(全13回)の#3では、エポスカードを勝ち組に押し上げた「2大戦略」の秘密をつまびらかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
丸井Gを支えるエポスカード
営業利益率は驚異の32%
「エポスカードは信じられないぐらいうまくやっている。もはやまねできるレベルではない」
ある大手小売り傘下のクレジットカード会社の首脳はそう言ってため息をつく。直接的なライバルにもかかわらず、その発言にはもはや諦めの色すら漂う。
この発言の意味を如実に表す数字がある。丸井グループ(G)の「エポスカード」を中心とした「フィンテックセグメント」の営業利益だ。
2022年3月期第3四半期の同事業の営業利益は331億円に達し、グループ全体の297億円を大きく上回る。加えて驚くべきはその利益率だ。同期の営業利益率は31.6%にも達し、業界大手の同10%前後をはるかに凌駕する水準を誇る。
主要カードで最後発ともいえる06年に発行が始まったエポスカード。会員数は右肩上がりで伸びており、21年12月時点で709万人だ。直近5期の取扱高の平均成長率は、市場平均の2倍に当たる15%に達している。
丸井Gの屋台骨を支える存在であるエポスカード。最後発ながらも業界内で勝ち組の地位を占めるに至った背景には、したたかな2大勝ち残り戦略がある。エポスカードの荒稼ぎを可能にした“からくり”をひもといていく。