部下の才能を殺す“ダメ目標”とは?
次に、(2)の「相手がある目標」は本人の努力だけで達成できないため、目標設定や達成に向けての工夫が必要です。担当者ごとに実力が違いますから、目標も異なって当然です。
よくあるのは「一人○件、最低□件」などのチームに課せられた目標を、均等あるいは、職責ごとに傾斜をつけて配分するやり方です。このやり方では落ちこぼれてしまいそうな社員を救うことは出来ませんし、パフォーマンスの高い営業にさらに高い目標に挑んでもらうことができません。
住宅メーカーのイベントに「バス見学会」というのがあります。住宅購入を検討しているお客様ご家族を招待し、観光バスに乗せて、自社の完成入居済みお住まいを案内したり、生産工場や体感施設を案内したりなどします。各社が趣向を凝らして企画しており、参加された経験のある方もいらっしゃるかもしれません。
このようなイベントでは、往々にして「バスの乗車可能人数÷営業人員数」で集客目標を設定しがちです。
しかし、これでは社員にとっては、達成しがたい大きな目標になり兼ねませんし、高いパフォーマンスを発揮している社員にとっては、活躍や成長の機会を奪う目標になってしまいます。
ここでのポイントは、その社員の能力に合った目標を設定するということです。
藤原が営業担当者時代に自分一人でバスを満員にするという目標を掲げ、達成し続けたという逸話があります。ですが、恐らく当初は藤原にとってもバスを満員にするのは相当な頑張りが必要だったはず。長年の経験のなかで、既存顧客様に新規の見込み客様を紹介してもらう手法を発案するなど、前回よりも今回、今回よりも次回と一歩一歩達成していったのだと思います。
リーダーはメンバー一人ひとりが今よりも頑張れば達成できて、その努力の中で成長出来るような目標設定と、目標達成に向けて教えて、応援して、期待して、頑張ったら抱きしめる思考が必要なのです。目標を配って、できなかったら結果をとがめているようでは、メンバーの成長など見込めません。
相手がいるということは、どんなに頑張っても達成できないこともあります。藤原は小さな達成感の連続の重要性を説く一方で、やり切った者にしか味わえない「挫折」も必要だと言います。
挫折とは単に達成できなかったことを指すのではありません。誰にも負けない努力をした結果、実現できなかったことを「挫折」だとしています。挫折を通して、くやしさがあるから、二度とこんな思いをしなくて済むために自身のありたい姿をイメージできるのです。
挫折から導き出されるゴールは小さなゴールではなく、大きなゴールであることもあります。
ありたい姿と比べると今の自分はいつも物足らなく思えます。そう思えるから、より一層の努力ができるのです。自分が目指すありたい姿という大きなゴールをイメージすることも必要なのです。