藤原(タカマツハウス代表取締役社長)はスキルアップを目指すべき社員に対し、マネジメントが行う最も重要なことは、小さなゴールを設定することだと言います。
努力すればギリギリ達成できる絶妙のゴールを設定し、メンバーに達成感を感じてもらうことが重要です。実力の無い社員に大きなゴールを目指させても、そのゴールは遠すぎて小さすぎて見えないのです。見えないゴールに向けて精いっぱい頑張れる人はそうはいません。
住宅メーカーの仕事を例にとると、用地仕入れ(土地を購入し契約を結ぶこと)において、本当の目的は土地を仕入れて契約を結ぶことです。そして、その土地がお客様の手に渡り、喜んでいただくことが大切です。
しかし、不動産の経験がない人や、長い間成果が出せていない営業にとって、契約を結ぶのはとても遠い目標です。そんな目標を毎日頑張れと言っても、どう頑張ればいいかわかりません。
そこで、小さな目標を設定することが必要です。契約に至るまでのプロセスを細かく分けて、今の実力で頑張れば達成できる目標を設定します。この目標を設定するためには、次の2つのことを意識する必要があります。
(1) 自分の努力で達成できる目標
(2) 相手が関わり、自分だけでは達成できない目標
住宅メーカーにおける仕入営業(土地や物件を購入する営業活動)では、訪問件数や電話営業、メールの件数は自分の努力で達成できる目標です。一方、案件取得件数や買付件数、仕入契約件数は取引先や競合がいるため、自分が頑張っても達成できない目標です。
(1)の「自分の努力で達成できる目標」は、特に営業の初期段階で重要です。なぜなら、相手がいない分コントロールしやすいから。訪問の準備をし、効率的にエリアを回る計画を立て、訓練したトークやツールを使って訪問営業を行います。このときの目標は、具体的でなければなりません。
具体性のない目標とは、「1日○件だから1週間で△件」のように、単純に数を足したり掛けたりして設定する目標です。
具体的な目標とは、既に決まっている会議やアポイントを考慮して、“その日、その週の精いっぱいの努力で達成できる目標”です。
例えば、週の目標を立てるとき、会議やアポイントがある時間を考慮して、「今週は月曜日の○時~△時まで訪問できるから□件」といった目標や、「アポと会議の間に外出訪問すると効率が悪いから、この時間は○件のメールを送る」といった目標を立てます。
達成できるかどうかは、準備と行動力次第。達成できたら次の目標は少し難しい訪問先を設定し、より高いレベルの達成を目指します。こうして、自分の努力でできることを増やしていきます。