後発品の普及を促すために
患者の負担が見直される

 先発品は、初めて開発された新薬で、いうなればトップバッターだ。一方、後発品は、新薬の特許期間(20~25年)の終了後に同じ有効成分で製造されたもので、「ジェネリック」と呼ばれている。

 新薬の開発には長い年月が要され、300億~1000億円もの莫大な研究費用が投入される。これに対して、ジェネリックは、すでに公開されている医薬品と同じ有効成分の薬を製造するので、販売までの期間は短く、研究費用も1億円程度だ。

 製薬メーカーの開発努力や費用負担が大きく異なるため、国が定めている薬価は先発品よりも後発品のほうが低く設定されている。現在は、新薬の特許切れ後に、最初に保険収載された後発品は、先発品の価格の5割となっている。

 発売後は市場価格をもとに薬価が見直されるので、時間の経過とともに先発品との差額は商品ごとにバラツキが出るようになる。また、開発から長期間たった医薬品の中には後発品のほうが高くなっているものもある。だが、相対的に先発品の方が薬価は高いため、国は増え続ける国民医療費を少しでも削減するために、後発品の普及を促す策を講じている。

 国の後発品普及策として重要な位置を占めてきたのが、薬局に支払われる調剤報酬による誘導だ。後発品を取り扱う量が多いほど、薬局の利益が増えるような調剤報酬体系をつくり、薬剤師が後発品を患者に勧めるように促してきた。

 その甲斐あってか、05年度に数量ベースで32.5%だった後発品の使用率は、23年度には80.2%まで増加している。だが、金額ベースでは56.7%にとどまっている(厚生労働省 第176回社会保障審議会医療保険部会 資料1「後発医薬品に係る新目標について」から)。

 そこで、後発品のさらなる普及を目指して、24年度の診療報酬改定では、患者が窓口で支払う医療費の自己負担にもメスが入ることになった。

 24年10月1日以降は、医療上の必要性がないのに、患者の希望で先発品を利用した場合は、選定療養の仕組み(※後述)を用いて、薬代の一部が公的医療保険の適用から除外される。つまり、医師は後発品への変更を認めているにもかかわらず、患者が「先発品を使いたい」と希望した場合は、これまでよりも自己負担が増えてしまうのだ。