薬をもらうだけなのに毎回診療……時間も費用も負担に感じている人に朗報だ。この6月から、1回の発行で同じ薬を3回まで調剤してもらえる「リフィル処方箋」に関する診療報酬が改定されたのをご存じだろうか。『医療費の裏ワザと落とし穴』の第281回では、「リフィル処方箋」を使うと医療費はどのくらい節約できるのか、詳細を解説する。(フリーライター 早川幸子)
ほとんど普及していなかったが
今年度の改定で見直し
6月1日、病院や診療所、薬局などに支払われる「診療報酬」が改定された。
診療報酬は、健康保険や国民健康保険などを使って医療サービスを受けたり、医薬品を調剤してもらったりしたときに、その対価として病院や診療所、薬局などに支払われるものだ。簡単にいうと、公的医療保険で受ける医療の値段のことである。
物価や賃金水準、消費税の引き上げ幅などを考慮して、原則的に2年に1回改定される。今年は、その改定の年に当たっており、医療従事者の人材確保や賃金アップのために、初診料や再診料、入院基本料などが引き上げられることになった。
診療報酬が引き上げられると、当然のことながら患者が支払う自己負担額にも影響が出る。生活必需品に続いて、医療費まで値上がりすることに不安を覚えている人も多いだろう。
だが、今回の診療報酬改定では、医療費を削減する見直しも行われており、その一つが「リフィル処方箋」に関するものだ。
リフィル処方箋は、同じ処方箋を繰り返し使用する方法で、2022年度の診療報酬改定で導入された。しかし、リフィル処方箋を利用する人が増えると、医療機関の収入は減ってしまう。そのため、医療者団体は導入に難色を示しており、ほとんど普及していなかった。
今回の改定では、リフィル処方箋の普及を促す見直しが行われており、上手に利用すれば、患者は医療費を抑えられるようになる。そこで今回は、リフィル処方箋を導入する背景と、医療費の節約方法について見ていきたい。