この経験から、初めて取り組む地域で宿泊施設の事業計画を立てる際に「このエリアの平均稼働率はどの程度の水準で設定しているのですか?」という質問ができるようになりました。その効果は絶大です。地域の特性を踏まえて事業計画を策定するようになったことで、事業者も金融機関も信頼してくれるようになります。こうした信頼性は、その後の関係性に大きく影響します。
さらには、事前に確認すべきことがわかると、物事が進めやすくなります。そう、対処相談によって学んだことを、今度は予防相談(物事が行き詰まらないために行う相談)に活かすことができるのです。
思わぬ反対意見の出現は
新たな視点で検証するチャンス
磨いてきた仮説や計画に対する反対意見に、的確な返答ができないときも、対処相談のタイミングです。
自分が「こうかもしれない」と思って進めていた仮説に対する反対意見が出たとしても、解像度が高ければこのように返せるはずです。
「その意見も選択肢の1つだと思い検討したのですが、○○という理由から現状では選択肢から外していました」
こんなふうに言ってもらえたら、反対意見を述べた人も納得しますよね。
ところが、反対意見を提示されて「なぜその点を指摘されているのかよくわからない」と思ったり、具体的な説明や反論ができずに相手を納得させられなかったりすることもあります。
それは決して悪いことではありません。仮説や計画が完璧である必要はなく、異なる意見が仮説を磨くことにもつながるからです。つまり、反対意見をもらったときこそが相談するタイミングだと言えます。
反対意見に答えられない原因の多くは、自分が考えたこともなかった視点だからです。
そうした視点を丁寧に取り入れることで、自分が見てこなかった角度から物事を考えるチャンスを手にすることができます。新たな視点から検証していくことで、解像度が高まっていくのです。
場合によっては、反対意見を提示した人に直接相談するのも1つの方法です。
「その視点に関してはまったく考えていなかったので、詳しくお話しさせていただけませんか」
その場のディスカッションから相談に移ってもいいですし、後日改めて場を設定するのもいいと思います。
私の場合は、反対意見を言った人から詳細に話を聞き、そのうえで、すぐには結論づけず、客観的な第三者に相談するようにしています。そうすることで、より多くの視点が得られるからです。自分の仮説が多様な視点にさらされることで、解像度は上がっていきます。