他人の助言に「薄っぺらい」と失望する人が知らない、“深い相談”をする技術とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のチーフ・エディターである吉川清史が豊富な読書量と取材経験などからレビューします。今回取り上げるのは、ビジネスパーソンに欠かせない「相談」をテーマに、その効果的な技法について考える一冊です。

「報連相」の中でも
特に奥深い「相談」の世界

「報連相」という言葉がある。若手社員や一般社員が組織になじみ、業務を遂行するための一丁目一番地として教えられることの多い「報告・連絡・相談」の略語だ。

 この3つの中で「報告・連絡」と「相談」は少々性質が異なる。報告・連絡はどちらかというと、上司や同僚に対する情報の流れが「単一方向」である。一方、相談は「双方向」だ。報告や連絡には「伝える力」が必要だが、相談にはそれに加えて「対話する力」が求められる。

 誰かに相談を持ち掛けた後は、貰ったアドバイスを理解した上で「この部分をもう少し詳しく知りたい」「自分はこう思うけれど、どうだろうか」などと言葉を返さないと、会話のキャッチボールが成立しない。

 議論が深まらなければ、自分の悩みごとが相手にうまく伝わらず、有益なアドバイスがもらえない。逆に相手が困ってしまうこともよくある。「一方的に話を聞いてもらえれば満足。悩みを打ち明けたらスッキリした!」というコミュニケーションは「良い相談」とはいえない。

 せっかく相談したのに、それが業務改善などの前向きなアクションにつながらなかったのであれば、時間を割いてくれた相手に申し訳ないというものだ。

 だからこそ、「相談なんて大したスキルじゃない」などと侮ってはいけない。若手社員だけでなくベテラン勢も、周囲と助け合いながら仕事を進める上では「相談術」の習得が不可欠だといえる。その際に有用な書籍が、今回紹介する『相談する力 一人の限界を超えるビジネススキル』だ。

 著者の山中哲男氏は、経営や新規事業開発のコンサルティング会社「トイトマ」の創業社長であり、丸亀製麺の海外進出などを支援した経験を持つ。また、その他にも複数社で社外取締役に就いている。華々しい実績を持つ山中氏だが、トイトマの創業前には居酒屋を開業しており、飲食店の経営を通じてビジネスの基礎を学んだという稀有な経歴の持ち主でもある。

 山中氏は本書で、相談を「最強のビジネススキル」だと断言。居酒屋経営に挑戦していた若手時代のエピソードを振り返りながら、周囲にうまく相談する方法を解説している。