小鳥は女性や子どもが愛玩したらしく、枕草子には「心ときめきするもの。雀の子飼ひ」とあり、源氏物語でも少女期の紫上が「雀の子が逃げた」と泣いている。ただ、どれほど真剣に飼われたかはわかっていない。

犬と猫と小鳥のうち「愛玩動物」でなかったのは?「光る君へ」でわかる平安時代アニマル事情『源氏物語 もの こと ひと事典』
砂崎 良 (著)
定価1,760 円
(朝日新聞出版)

 日本にいない象、虎、豹(ひょう)、平安貴族の生活には縁遠い熊、狼は、文献で知る猛獣だった。同様に、実態より和歌などで知られていた生き物には鶴や山鳥、羊、蚕(かいこ)がいる。狐は、仏教の経典に出てくる野干(やかん=ジャッカル)と同一視され、下級の魔物と見なされた。梟(ふくろう)も不吉な鳥だった。

 肉の食用は、殺生を戒める仏教の影響で忌避されがちだったが、それでも鮎(あゆ)、鮒(ふな)などの川魚、鳩、雲雀(ひばり)などの鳥が食されていた。中でも雉(きじ)はご馳走で、また鷹狩りにおいてはシンボリックな獲物であり、枝につけて贈る作法があったという。

(構成 生活・文化編集部 橋田真琴/イラスト 鈴木衣津子)

AERA dot.より転載