写真:紫式部像Photo:PIXTA

元宝塚女優が演じる
女流歌人の赤染衛門

 NHK大河ドラマ「光る君へ」では、藤原道長の妻となる源倫子(左大臣源雅信の娘で宇多天皇の曽孫)を囲む女子会での会話がなかなかよくできていて好評だ。

 当時は婿入りなので、道長は現在の京都御苑仙洞御所の辺りにあった源雅信邸(土御門殿)を住まいにした。その結婚前に、源家では紫式部をはじめとする才女たちを集めて文芸サロンのようなものを開いていた。

 その主宰者というべきなのが、女流歌人として有名な赤染衛門で、元宝塚女優の凰稀かなめさんがりりしく演じている。

 2月25日に放送された第8回「招かれざる者」では、倫子(黒木華さん)など女子たちが、打きゅうの試合に出場した公達を品定めする場面で、本当は盗賊の直秀(毎熊克哉さん)に気がありそうな赤染衛門に、倫子から「衛門たら、人妻なのに」といわれたのに対し、「人妻であろうとも、心の中は己だけのものにございます」と言い放ち、女子たちから「キャーッ」と歓声が上がる場面が話題になった。

卑弥呼を語る上での
キーパーソンの子孫

 ところで、この赤染衛門だが、実は邪馬台国と卑弥呼を語る上でキーパーソンの一人である、中国の遼東太守・公孫淵の子孫なのである。

 中国の文献に初めて倭国が出てくるのは『漢書』である。紀元前1世紀頃の日本列島では100国余りの小国分立の状態だが、『漢書』によれば、平壌を中心とした漢の楽浪郡(植民地という人がいるが内地扱いなので誤りだ)に、これらの国々は使者を定期的に派遣して貢物を献上していたとある。

 ついで、『後漢書・東夷伝』は、西暦57年に奴国の使者が洛陽にやってきて後漢の初代皇帝・光武帝から金印を授けられたとあり、これが江戸時代に博多湾の志賀島から発見されて国宝になっている「漢委奴國王」と刻まれた金印だとされている。

 さらに、107年には倭国王・帥升らが160人の奴隷(生口)を安帝に献上したとあるのだが、その後、使節が来た記述がなく、2世紀頃の倭国では大乱があったとされている。