2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容をもとに、抜粋・再構成して特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

抜け出せない「なんか変」の沼

 職場で「あれ、変だな」と気づくことはありませんか?

 会議の場で、数人がすっきりしない顔をしている。
 理解を尋ねても、明確な返事がない。
 笑顔は見せるものの、部下の本音がわからない。

 でも、周りが平然としている中では、小さな違和感は表現できないものですよね。

 ハラスメントへの意識も高まる今、優しい人こそ、この「なんか変」の沼にはまりがちです。

リーダーは疲れている

 そもそも、リーダーは忙しいもの。

 経営指南は絶えずされていますが、昨今は組織づくりについても、ああでもない、こうでもない、と盛んに言われますよね。

 心理的安全性をなんとかしろ
 ストレスチェック結果に沿った打ち手はどうなっている?
 女性活躍の指標の達成はどうか?
 中期経営計画があと2年だが目標まで……
 ChatGPTをマスターしろ
 とにかく1on1をせよ

 ─要は、変えろ、変われ。今のままではダメだ。世のコンサルだの(私もか!)、自称「できる/頭のいい」人代表である著名な経営者などは口を開けば、そう言います。

 けれど、一体何をどう変えるべきなのか?

 ただでさえ忙しいし、あれもこれも現状を違う・ダメなのだと否定されて、さらなる努力だ、「パワー!」と急き立てられても正直しんどい。

指示より先に「見る」ことが大事

 そんな瀕死状態の中、まずやるべきことは「変える」ことではありません。
「見る」ことです。

 これは、ただ単にぼーっと周りを眺めることではありません。能動的で知的な次の3つのステップから成り立つものです。

ステップ① 違和感に気づく
ステップ② 複数の解釈を当ててみる
ステップ③ 対話の糸口になる仮説を立てる

 まずは、違和感に気づくこと。これがすべてのスタートになります。

 違和感というのは意図せず感じ取ってしまうものであり、「ちょっと立ち止まって」という自分自身の経験則からのサインでもあります。「気づいてしまったもの」と言い換えてもよいでしょう。

 そして次に、その違和感に対して複数の解釈を当てます。

「こういう考えだったんじゃないか」「もしかしたらこうかもしれない」というパターンを、できる限りたくさん考えてください。そうすることで、自分の解釈のパターンを超えてフラットな目で見る準備が整います。

 そして最後に、対話の糸口となる仮説を立てます。

「あれ?」と思ったことを自分の解釈のまま表現するのではなく、「もしかしたらこうかもしれない」という解釈があったうえで、相手に伝えたときの反応を想像します。自分だけの「当たり前」で考えないのがコツ。

 この観察がすべての土台となって、リーダーの振る舞いがメンバーに通じるようになるのです。