「買い買い病」の投資家が知らない格言「買いは算術、売りは…」の重要な意味写真はイメージです Photo:PIXTA

ファイナンシャルアドバイザーの長谷川伸一氏によると、株式投資でお金を減らす人は企業の“利益のみ”にとらわれる傾向があるという。一方、お金を増やす投資家はたとえ減益しても「買い」と判断するケースも珍しくないそう。ローリスク投資を実現するために必要な“視点”について解説する。※本稿は、長谷川伸一氏『お金の動きに強くなる投資の入口』(総合法令出版)の一部を抜粋・編集したものです。

上昇トレンドが崩壊したら即撤退
塩漬けにするより次で勝とう

 お金を減らす人は上昇トレンドが崩れても放置する傾向があります。

 トレンドというのは、流れのことです。小幅に上下しながらも上昇していく動きのことを「上昇トレンド」、上下しながらも下落していく動きを「下降トレンド」といい、横ばいの動きを「もみ合い」といいます。

 下降トレンドがひと段落して、もみ合いになり、上昇トレンドに転換したときに株を買うのがベストです。

 そして、上昇トレンドに入っていくのですが、時々、さほど上昇せずもみ合いになり、下降トレンドへと転換することがあります。そのとき、「上昇トレンドが崩れた」といいます。

図表:【もみ合い】と【トレンド】同書より転載
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 トレンドラインが崩れても、放置しておくと一気に下落してしまう可能性があります。

 相場のことわざに「上がり100日、下げ10日(3日)」という言葉があります。株価というものは、100日という長い年月をかけて少しずつ上昇していきますが、下がるときは僅か10日(3日)で暴落するという意味です。

「天井3日、底100日」ということわざもあります。しかも、このことわざは「底100日」ではなく、「底3年」と訂正する人もいるくらいです。

 つまり、高値は僅か3日しか続きませんが、安値になると3年も続くといっているのです。

 ちなみに、株価が下落すると「含み損(実現していない数字上の損)」を抱えることになりますが、この含み損のまま放置していることを「塩漬け株」といいます。

 3年間も塩漬けしたまま、その資金を他に回せないとなると、利益を上げるチャンスがなくなってしまいます。3年も4年も待てるのなら、倒産しない限りは、いつかは元の株価に戻る可能性があります。

 しかし、お金を増やす人は、その時間を買うつもりで株を売って仕切り直しをします。トレンドラインが崩れたと思ったら、すぐに売って撤退するのです。お金を増やす人は、損をしても次で取り返せばいいと考えます。10回取引をして9回負けても、最後の1回ですべてを取り返すと考えるのです。

買い買い病の危険性と対策
信用取引の巧妙な活用法

 お金を減らす人というのは買うことばかり考えています。

 私はこれを「買い買い病」と呼んでいます。とにかく買いたいと思ってしまうのです。それで、現物株を担保に株を買える信用取引で買ってしまう人も多いです。