信用取引は株券や現金を担保に借りて売買するのですが、多くの人は上がると思う株を買います。それは当たり前なのですが、ただ信用取引で買うということは借金して買うということです。現在最大約3倍買えますから、それはそれで強烈な武器になります。

 しかしその半面、3倍のレバレッジをかけますので、30%下がったら元金はほとんどなくなってしまいます。ですから信用取引の場合は、売りも上手に使っていかなければいけません。

「買いは算術、売りは芸術」という格言があります。買いは計算の基に出せるが、売りは上昇して欲しいという欲望を超えて冷静に判断することから、それが芸術だ、ということです。お金を増やす人は、芸術と算術の両面を持ち合わせています。

 たとえば、株価1000円で買った株が1200円になりました。自分はこの会社に惚れているから持っていたい。でもどう考えてもトレンドラインが崩れてきた、これは下がりそうだ、でも惚れているから売りたくないというときに、お金を増やす人は「つなぎ売り」をします。

 信用取引で売りを入れるわけです。いわゆる「空売り」です。1200円で1000株の売りを入れると結果的にその人の予想通り、1100円まで下がりました。その人は1200円で売りを入れていますから、1100円のところで買い戻せば100円の利益が出るわけです。

 しかし、現物の持ち株はそのままです。単純に、売りを入れることによって、その株価が下落したときに収益を得ることができます。

「もし株価が上がったらどうなるの?」という心配もあるかもしれません。それは現物を売るかどうか迷ったのだから、その現物を返してしまえば、結果的にこの人は、1000円で買って1200円で売ったのと同じことになるわけです。そのような売りをするケースが実は多いのです。

利益だけでなく売上にも注意
減益の背景を見て投資を判断

 お金を減らす人は、利益の伸びばかりに注目します。たしかに、利益は重要です。利益が出ていなければ、会社は潰れてしまうからです。

 ここで理解しておかなければならないことは、利益は売上が変わらなくても、あるいは下がっていても出すことができるものです。大規模なリストラを断行するとか、コストカットの効果で一時的に利益を出すことができます。