おひとりさまの老後には、現役時代には見えにくい落とし穴がある! それも踏まえた、お金&老後対策は必須です。男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中ですが、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。
離れて住む親でも税金上の「扶養」にはできる
同居していない親でも、なんらかの仕送りをすることで、税金上の扶養にすることができる可能性があるという話を以前、お話しました。
さらに、その親が要介護状態の場合、障害者控除の対象として、より多くの控除が受けられる可能性があります。
「要介護」なら障害者控除の対象になることも!
障害者控除の対象としてよく知られているのは、障害者手帳を交付されている人ですが、税法上では「65歳以上の人で、その障害の程度が障害者手帳の交付などに準ずるものとして市町村長などが認めたもの」も障害者控除の対象となるとしています。
対象となるかどうかの判断には、公的介護保険での認定基準を用いることが多く、たとえば「要介護3~5で、かつ日常生活や認知機能の面で自立度が一定ランク」などの場合、特別障害者控除の対象とみなしたりしています。
仮に、同居している親が特別障害者控除の対象だった場合、年収800万円の人なら、最大36万円程度の節税になります。結構大きな額ですよね。
扶養に入れるのは、年間所得が48万円以下の人。年金収入だけなら65歳以上は158万円以下の人が該当します。
もし、扶養に入れない親御さんの場合でも、親御さんご本人の所得から障害者控除を受けることができます。特別障害者だった場合、年金が300万円程度ある人で9万円程度の節税ができる可能性があります。
この制度「知らなかった!」という人も多いのですが、該当するなら使わないとソン! 多くの自治体では過去についても介護保険の資料等で判断してくれているようです。税金を戻してもらう還付申告は、過去5年間さかのぼってできますから、該当する人はまずは市区町村の窓口に相談してください。
寡婦(かふ)控除も忘れている人が多い!
これ以外でも、夫と死別後再婚していない母親がいる場合など、年間所得500万円以下ならば寡婦控除(27万円)が受けられるのですが、これもうっかり忘れている人がいるので、要チェックです。
また、年金収入が400万円以下のみ、という人は確定申告は不要とされているのですが、これに該当する人は、確定申告をした方が節税になる可能性が高い人です。
親御さんが、確定申告のことをいろいろ調べてご自身でするのは、かなり大変だと思いますし、いろいろ控除できるものがあるのに忘れている人が多いのは本当にもったいない! 是非、親御さんの確定申告を一度見直してみてください。
*本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。