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 定義付けにもよりますが、ディープステートは大学よりも、難関中高一貫校の同級生や同窓生の集まりであることが多いです。利権や打算抜きで、互助会的な関係を築けるからです。日本で言えば、開成会などがそうです。岸田総理の母校である開成学園出身者の横のネットワークは、どの大企業にも全ての官庁にも存在します。そして、政策意思を決定する岸田総理にアドバイスもできます。開成のほかに灘、麻布、武蔵。女性なら、桜蔭や雙葉のネットワークが強いです。

 ディープステートは国を憂う「善意」の集団ですが、エリート主義的思考の枠組みから抜け出すことができません。ですからポピュリズムに勝てません。外交の場面などではポピュリストの勇ましい意見ほど通りがちで、国の身動きを取れなくしかねません。こういうときにディープステート型のエリート集団が行使できる影響力は限定的です。ディープステート型のエリート主義は、民主的な意思決定プロセスを歪めるから危険なのです。

支持率15%の岸田政権が倒れない「本当の理由」にゾワっ…佐藤優が暴く「政権を支える影の支配者たち」の正体連載:「派閥とカネと自民党総裁選」に登場する大物政治家たち Photo by Wataru Mukai

——それは岸田政権に限った話でしょうか。

 安倍政権以降の共通した傾向と思います。もっとも安倍政権を支えたグループはかなり可視化されていました。安倍政権を支えたのは日本会議であり、日本医師会といった利益集団や経団連でした。安倍さん自身が賃金の引き上げを求める「官製春闘」を7年連続でやったので、連合もありがたかった。

 いろいろな集団が都合がいいと思うバランスの上に乗っていたから、安倍さんは一種の機関だったんです。いくつものエリート集団が、総理が安倍さんであることが自分たちにとってベターだと考えたことが、政権が長持ちした理由だと思います。