民主主義とポピュリズムの間は、グラデーションです。
全ての人間は悪を犯しますから、悪を根絶することは不可能です。したがって悪をどうコントロールするかが重要になります。しかしこうした複雑な話は受け入れがたいため、簡単でキレイなことを言う人が勝ちます。すると、誰も守れないキレイなルールができあがります。結果として、キレイすぎて守れないルールの裏で、どうやってうまく立ち回るかが問われるようになるでしょう。
こうしたダブルスタンダードは、政治家になるリスクを必要以上に高めることにつながります。
この先、「政治家になるのはリスクが大きいから、投資銀行に入って資金を作ってから起業して、政治家を後ろで動かす人間になる」という政治志向が強まっていきかねません。
——政治がアンダーグラウンド化していきますね。
そう。別の言い方で言うと、トランプ前大統領が非難しているディープステートによる支配です。誤解されやすいのですが、目に見える存在はディープステートではありません。日本の政治に影響を与えてきたと言われる児玉誉士夫や笹川良一といった人たちは、ディープステートではなくフィクサーです。国民から見えないように政策の意思決定に影響を与えるのが、ディープステートなんです。