ドリアン助川『叫ぶ詩人の会』を起用も迷走
田代まさし『幸福のどん底』企画とは?

「番組が開始して間もない頃だったと思うけど、視聴率が信じられないような低い数字だったんです。スタッフ皆が陰鬱な表情をして、つらそうで。プロデューサーは盛り立てないといけないから、『おい、植竹、何ととかしてくれよ!』って、会議で発破をかけられてね」と、植竹氏。

ドリアン助川(ミュージシャン)Photo:SANKEI

 その状況で、植竹氏は番組に強いインパクトを付けようと、当時音楽業界で注目を集めていた、ドリアン助川が率いる『叫ぶ詩人の会』を起用することを思い立つ。ロック調の音楽をバックに流しながら、オリジナルの詩を叫ぶスタイルで人気を博したこのバンドを登場させることで、「番組のカンフル剤になればと思った」と語る。しかし、思わぬ方向に企画は進んでしまう。

「僕が連れてきたバンドなのに、他の演出家と放送作家が組んで、面白い感じのギャグみたいな詩を書いて歌わせてるんですよ。ドリアン助川さんはオリジナルだから面白いんであって、そんなことをやらせてもね…。とにかく視聴率が低迷してアタフタしていたから、スタッフの足並みすらそろわなかったんでしょう」

 植竹氏が担当していた月曜日では、当時、数々のレギュラー番組を抱えていた田代まさしをメインに据えた『幸福のどん底』という企画を展開していた。内容について植竹氏は、「ほとんど忘れてしまって…」と苦笑いする。しかし、「確かな記憶がない理由」があるという。

「90年代半ばといえば、バラエティーが全盛の時代だったから、僕は他の番組を何本も掛け持ちしていて忙しくてね。だから、具体的な内容はあんまり覚えてないんです。確か、ワイドショーみたいな形で、不幸になってしまいそうな人を紹介していたと思うけど…その記憶もあんまり自信がないな(苦笑)。それと、あまりにも低視聴率で終わっちゃったので、周囲の人も気を使って話題にすら出さなかったから、思い出す機会がなかったんです」

インタビューを受ける田代まさし(タレント)Photo:SANKEI