帯番組ヒットのカギは「揺るがない軸」
『ラヴィット!』が人気の理由と課題は
番組開始から約半年で打ち切りが決まった『まっ昼ま王!!』。その低視聴率ぶりは凄まじく、計測不能を意味する「米印」のマークが記録された回もあったという。録画していた人も少ないせいか、あらゆる情報が網羅されているはずのインターネット上にも本番組に関する情報は皆無といっていい。植竹氏は、この番組の敗因についてズバリ、「軸がなかった」ことを挙げる。
「僕が担当した番組を例にあげると、『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系列)は女子高生を観る番組。『11PM』(日本テレビ系列)は大人の遊びと知性を扱う番組。『パオパオ』は子どもが観る番組。そんなふうに、明確な軸っていうのがあると思うんです。でも、『まっ昼ま王!!』はそういう軸がなかった。どんな番組だったかって聞かれても一言で伝えられない。軸がはっきりすれば自ずと視聴者も付くものだけど、それを見つけられなかったことが、敗因だったと思います」
2014年に『笑っていいとも!』が終了して以降、バラエティー路線の帯番組は姿を消してしまった。しかし21年、「日本でいちばん明るい朝番組」というキャッチコピーで始まった帯番組が『ラヴィット!』(TBS系列)だ。お笑いコンビ「麒麟」の川島明がメインMCを務め、芸人を中心とした出演陣が、情報番組のフォーマットの中で、徹底したバラエティーを繰り広げる内容が人気となっている。この番組について、植竹氏は率直にこう評価する。
「番組がスタートした時は、『朝に、お笑い?』って思って、早く終わるだろうと思っていました。が、予想以上に健闘していますね。“朝から観るお笑い番組”って軸がはっきりしている。だから、堅苦しいニュースを観たくない層はこの番組へ流れているんでしょう」
「あえて苦言を呈するとすれば、昔からあるバラエティーの企画が多いですよね。それを、朝向けにマイルドにしてるというか…。時間帯の問題もあるから乱暴なことはできないけれど、そこをうまくすり抜けて、同業者をあっと言わせるような企画が生まれると、またグーンと人気が出るような気がします」
バラエティー路線の帯番組としては、驚くほど短命で終わってしまった『まっ昼ま王!!』。番組スタッフであった植竹氏ですら、「記憶が定かではない」と語るこの番組こそ、知る人ぞ知る“幻の番組”と呼ぶにふさわしいのではないだろうか。