セミナーを受ける就活生たち写真はイメージです Photo:PIXTA

例年、多くの学生が奔走し、卒業後の進路を決める就職活動。学生によっては、なかなか内定が出ず「自分は就職できないかもしれない……」と悩みを抱えるケースもあるだろう。近年、そんな彼らの不安につけ込む“契約トラブル”が増加しているという。(清談社 真島加代)

コロナ禍以降に急増する
就活生の契約トラブル

 独立行政法人国民生活センターは今年5月、「学生の就活の不安につけ込むトラブル―Web会議で無料カウンセリング等を受けるだけのつもりが高額契約に―」という報告書を公表した。

 SNSやインターネットに表示された就活塾などの広告を見て、Web会議で無料カウンセリングに参加したところ、最終的に高額なセミナーやスクールなどの契約を迫られる事例が増えているという。なかには、約50万円もの高額なプログラミングスクールに契約してしまった就活生もいるそうだ。

「2000年代前半から2014年頃までは、SNS関連の就活トラブルといえば『学生がSNSに不用意な書き込みをして、内定が取り消された』というニュースが時折話題になる程度でした。しかし、2010年代後半から、SNS経由で勧誘を受けた就活生が契約トラブルに巻き込まれるという報道が少しずつ増えていき、コロナ禍以降、さらに増加しました」

 そう話すのは、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏。国民生活センターによると、2019年度までは路上アンケートやバイト先の先輩からの勧誘など“リアルなつながり”が、契約トラブルになる事例が約37%を占め、電話勧誘は約4%だった。しかし2022年度には、Web会議を含む電話勧誘による契約トラブルの割合が33.3%に達し、最多に。

 石渡氏は、こうした傾向の変化について「コロナ禍の影響が大きい」と話す。