――なるほど、異変を感じた際の、その前後の体の具合を自己申告するということですね。具体的には、お医者さんは患者さんのどういう情報が欲しいのですか?

石黒 僕が患者さんから教えてもらうと助かる情報は、以下の6点です。

1. いつから?
2. どこの、どんな症状が気になっているか?
3. 今までも、こういうことがあったか?
4. 痛みに波はあるか?(ずっと痛いのか?それとも時々、痛むのか?)
5. 熱はあるか?
6. 便通はどうか?(下痢なら1日何回、便秘なら何日に1回)

 このように、患者さんご自身からの情報を得て診断につなげていきます。

 もし、症状的には何もない、病気ではないという診断結果で、けれども便のにおいのみが気になるということであれば、整腸剤を服用するとにおいは弱まっていきます。

 酪酸菌、乳酸菌、ビフィズス菌といった善玉菌は腐敗臭を取る働きがあるんです。においという悩みだけならば、1~2週間、1日3回ほど飲んでいただければ軽減していくでしょう。

――自分自身でもできることがあれば教えてください。

石黒 現代人のライフスタイルは便をくさくしている暮らしをしているといっても過言ではありません。先ほど申し上げた肉や脂のほかにも、ジャンクフードなどの加工食品、糖質オフダイエット等も便がくさくなる要因になり得ます。

 過度な動物性食品やニンニク・ネギなどのにおいが強い野菜の摂取を控える、反対に、味噌や納豆、キムチなどの発酵食品、乳酸菌や食物繊維を積極的に取るといった工夫で、腸内環境を整えることで改善が望めるでしょう。

石黒智也
日本内科学会認定内科医/同・総合内科専門医/日本消化器病学会専門医/日本消化器内視鏡学会専門医/H.pylori感染症認定医/日本がん治療認定医機構 がん治療認定医/日本消化管学会胃腸科専門医/緩和ケア研修 修了医。1979年、岐阜県生まれ。2005年、岐阜大学医学部卒業。総合病院での一般内科、消化器内科、救急医療の研修を経て、胃・大腸内視鏡検査及び治療件数で全国有数の昭和大学横浜市北部病院・消化器センターに入局。「痛くない、つらくない」内視鏡の挿入法などを徹底的に学ぶ。2016年、神奈川県茅ヶ崎市にて「湘南いしぐろクリニック」開設。現在、「新横浜国際クリニック」「湘南いしぐろクリニック 鎌倉院」など6施設の医院を運営する医療法人社団MBSの理事長を務め、早期がんの発見やお腹のトラブル撲滅のため、日々研鑽を積んでいる。趣味はプロ野球観戦、サーフィン、カラオケ。医大生時代は本気で芸人を志したこともあり、お笑い番組も大好き。著書に「消化器内科の名医が本音で診断『お腹のトラブル撲滅宣言』」(双葉社)がある。