翌日、C部長は夏休みの運用方法について甲社長に相談し、合わせてD社労士からの指摘内容も伝えた。そして検討の結果、今年度から就業規則通りに運用を変更するとし、5日間の有休は夏休み期間中に2日、年末年始で1日、その他の日で2日の計画的付与をすることにし、労使協定の作成準備に取り掛かかった。同時に管理職会議を開き夏休みの運用方法の変更を説明し、各部署の課長に対して部下に伝達するよう指示を出した。

「夏休みが取れるようになったよ」

 AはB課長から夏休みが取れるようになったと言われたが、時すでに遅く、前日の夜参加者全員に札幌旅行を中止する連絡をし、飛行機や宿もキャンセルしていた。

 気の毒に思ったB課長は、Aにある提案をした。

「インドに住んでいた弟が最近帰国して、都内でカレー屋を始めたけど、結構ウマいから行ってみない?」
「ホントですか?開店早々だったら情報通のメンバーでも知らないはず。ぜひ行きたいので場所を教えてください」

 Aはすっかり元気を取り戻した。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。