自分たちにとっての「理想の家」とは?
希望の「パフォーマンス」を見極めよう

 ここまで、中古住宅の「コスパ」における「コスト」の部分を中心にお伝えしてきた。最後にパフォーマンス、「効果」の部分について触れておきたい。「コスパ」の「コスト面」にこだわり、そもそも自分や家族が、「マイホーム」に何を求め、どのような理想を抱いていたのかを忘れてはいないだろうか。

 例えば、「ゆっくり浴槽につかれるバスルーム」を求めて、中古物件をリフォームすることになったとしよう。検討する物件の浴室は比較的小ぶりなサイズなため、一般的なサイズの1坪サイズあるいは1.25坪サイズへと大きくすればいいと気軽に考えていたら、実は基礎から壊さなければいけない、柱を取る補強をしなければならないなど想像以上に大がかりな工事が必要になることは珍しくない。その結果、中古物件で理想的な暮らしを叶えるためには、想定されていた予算を大幅にオーバーせざるを得なくなる。

 この他、既存の車庫を利用していたが、家族が増えて車のグレードを上げたら、駐車スペースがなくなってしまった…というケースなども想定をして、物件選びには注意をしたいところだ。

 自分たちは今、そして将来に向けてどんな「パフォーマンス」を優先するのか、それにはどんな費用が必要なのか。単に「“コスパ”がいいから中古住宅を選ぶ」という発想だけでは、真の意味で「中古住宅」のメリットを享受することは難しいだろう。計画性を持ち、インスペクションを含めた十分な調査、情報収集のもと「審美眼」を養ってほしい。

(株式会社さくら事務所創業者・会長 長嶋 修)

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